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□A短編小説[二次創作]
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[ルカ×リン(ボカロ)]



I miss my ...





静寂の冬。



私は今日久々に、
愛しの彼女と会っていた。




電車から降り、
黄色い髪を揺らして駆け寄ってくる 「遠距離」の彼女は
あの時どおり 凄く、可愛くて。



思わず抱きしめようと思ったが
久々すぎて、身体が動かなかった。


しかも時間は、たった半日だけ。
それが私の針を 更に狂わせていく。




─今の彼女はまだ
本当に、私のもの?─


─それをしたとして
彼女は、喜ぶ?─




昨日まで
確認し合ってた愛情を考えれば、
答えは一つなのに。

その考えから、
何故か 逃げ出してしまう。



今すぐ絡めたいその指も
今日は かじかんだように、伸ばせなかった。





「…ルカちゃん、どうしたの?」


首を軽く傾けて
俯き気味な私を、覗き込んでくる青い瞳。

久々に間近に見た彼女の顔に
私の胸が跳ねる。



…キスしてしまいたい。






私は笑顔で答えた。


「なんでもないのよ、ごめんね?」





何故。

考えたことと
逆の言葉が溢れた。





「本当にー?」


「うん、本当よ。」


「そっか…じゃあ、行こっ?」




二人で電車に乗り込み
一緒に買い物をしたり、カラオケに行ったりする。



普通の恋人同士なら、楽しい時間のはず。


でも、今は…
もどかしい。





彼女に会わない時間は
あまりにも私を 弱気にしていて。

楽しいのに
曖昧な笑顔を浮かべる自分は
何だか…滑稽だった。



彼女が少し不安そうに、
それでも 私に自然と笑いかけてくるのが分かる。





嗚呼、結局
私は何もできないんだ。

ピエロのように 偽善者のように
涙や笑顔を繕うだけ……。





せめて 涙を堪えて
今位 二人で楽しもうと思って



彼女に伸ばせない マリオネットのような
手足を動かしながら

とにかく、一緒に笑った。
一緒に楽しんだ。





「…ルカちゃん、どうしたの?」


ふと気付くと もうあと10分で
お別れの時間だった。




駅のホームで 他の人々と佇む。


忙しそうなサラリーマン。
買い物帰りの、お母さんと子供。
音楽を聴いている学生。



どの人も皆
誰かと共に、帰る場所があるのだろう。





だが、私の目の前にあるのは
別れだけだった。





…一瞬、彼女が
寂しそうな横顔を浮かべたように見えた。

「リン、大丈夫…?」

私が話しかけると 少し慌てて、
いつもの笑顔を向けた。


「平気だよ!
また会えるし、ね?」



こんな時、
私の腕が動けば。



思いはあるのに、

信頼はあるのに、

愛情はあるのに、


恋しさはあるのに。





無情にも
電車が滑りこみ 私達の前に止まる。



「…リン。」



かける声が見つからない。

最後まで
想いを形に、出来ない。



「ルカちゃん…」


リンは、軽く笑うと
私に向かって言った。




「また、二人で会おうね」





スローモーション。


何かが私を揺るがす

ゆっくりと扉が閉まる

何処か切なそうな横顔

発車のベルが鳴り響く

慌てて電車を追い掛ける

二人の距離が遠退いていく

私は口を開ける

もうすぐホームから出てしまう

何かを叫ぼうとする



声は、



とどかない─…





電車が角を曲がり、
消えた。





息を切らせて

言えなかった言葉が 口を伝い こぼれ落ちる



穏やかに流れだす時間




また訪れる、
静寂の冬。





Fin







◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




単純に、今の気持ちを
小説にしてみただけですw



たった半日の時間でも

二人にとって
「ありふれた時」より、
「ちょっと特別な時」でありたい。


願いは自ら叶えるもので。
それを出来なかったルカさんなのです。



I miss my ...

…私は私の...が恋しい




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


11.02.17



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