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□ReApeR
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「ぎゃあああっ!」


夜の住宅街に
突然の絶叫が響き渡った。



その声は熟睡する人々に 届くはずもなく
辺りに広がり消えてゆく…かと思われたが。



「………?」


黙々とキーボードを打ち込んでいた彼…
刀禰崎 夢緒(とねざき むお)の
耳には届いた。



「チッ…こんな夜更けに仕事かよ……」



パソコンの時計は、午前3時を指している。

夢緒は仕方なく立ち上がると
近くの手頃な棒…
すりこぎを持って玄関へ向かった。


扉を開けると
外は一面の雪。

見た目からしてかなり寒いことが分かる。


夢緒はハンガーに掛かっていた
ジャンパーを羽織ると、

内ポケットの中にある
大きなバンドを取り出した。


一見普通に見える革のバンド。

しかしその周りには、
数々の大きさのトゲがついている。



月光に輝き、光るそれを
すりこぎに巻き付けると、

ただのすりこぎは
一つの「武器」になった。




「よし、行くか。」




夢緒は駆け出した。






雪の積もるアスファルト、
足元に絡みつく雪を物ともせず、

まるでサバンナのチーターのように
颯爽と駆け抜けてゆく。








あっという間に
現場に辿り着いた夢緒は

その場の光景に、目を細めた。




道の行き止まりの中心には、
赤黒い鮮血に塗れた、男の死体があった。


刺した時、吹き出したのであろう…
周りの壁は、
雪ごと血飛沫で真っ赤に染まり

残りの血は未だにたらたらと
男の首から溢れ出している。





そして何より

その死体を力任せに切り刻む女の姿が
目の前にあった。





貪欲に餌を蝕む虎の如く、

男の身体を 幾つもの断片に変えては、
辺りには生々しい肉片が飛び散らせる。

死臭とも思われる匂いにも、気づいていないようだ。



解体作業を続ける手元には、
大きなブッチャーナイフがある。

ナイフは血で黒く光り、
使い込み具合を出している…。




「お前が、
例の殺人鬼か?」



そんな中 夢緒は特に怯える様子もなく

いつもながらの軽い様子で
彼女に問い掛ける。



「………。」



女はただ黙々と
死体を刻み続ける。



「お前が、最近のニュースで取り上げられてる
女殺人鬼か、って聞いたんだけど。」



答えない彼女に動じる様子もなく
もう一度、同じように問い掛ける。

と、


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