Livingroom

□花言葉
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どうやら、完全に参っちまってるらしい











花言葉













いつからだろうか。最初は、チキン過ぎて扱いにくい奴だと思っていた。なのに、気づけば常にあいつを目で追う様になっていて。今だって、コンビニ寄った帰り道に、あいつと同じ名前をした花を見たというだけ。それなのにあいつを連想した上、鼓動が収まらない。あまり目立たない、大人しいあいつに、どうしてこんなにも思い焦がれるのか―

「椿…」確かに、ピッチの上ではつらつと走る姿は眩しいくらいに輝いているし、プレイする姿に魅了されているのは俺だけじゃないはずだ。でも俺は、普段のあいつに、尋常じゃないくらいドキドキする。そういや、いつだか有里が言ってた。

(知ってる、達海さん?ツバキの花言葉って色に寄って違うんだって)

(赤いのは『ひかえめな美徳』で、白いのは『最高の愛らしさ』なんだってよ。椿君には赤い方が合ってるよね)

あの時、俺は何て返したんだったか。
「『ひかえめな美徳』と『最高の愛らしさ』ねぇ…」むしろ白い方が合っているような気がする。普段のあいつは確かにひかえめだけど、その中にこれ程までに俺を魅了する愛らしさも持ってるから。
「…可愛いやつ」その笑顔を思い浮かべて、思わずにやけた。明日、あいつをこのネタでからかってやろう。





END.
 

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