Livingroom

□好き、だから言えない
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夢を、見た。彼に、愛してると言われる夢を。


















好き、だから言えない




















「おはよう、旦那」身仕度を整えて階下に降りて行くと、彼が声をかけてきた。その姿に夢を思い出して、思わず目を逸らす。
「おはようございます、ガイ」
「…旦那…どうかしたのか?」ガイは不思議そうに、やや心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「何でもありませんよ。それより、皆は?」その目を避ける様に辺りを見回して尋ねると、ガイはあー…と言って頭を掻いた。何です、と促すと言いにくそうに話し出す。
「その…朝に空砲が鳴っただろ?それが何かイベントの開始合図だったらしくて、ルークが、ティアを連れて…」しどろもどろになりはじめたガイの話を要約すると…。
「…つまり、今日行われる何らかのイベントにルークが興味津々でティアを引っ張って行き、アニスはナタリアと一緒に二人を追いかけて行って貴方は一人で置いてきぼり…というわけですか?」
「…まぁ、そんなとこだよ」
「では今日はまたここに泊まる事になりますねぇ…」
「だろうなぁ。…で旦那はどうする?」連泊することを宿屋の主人に伝えておこうかと思案しているとガイにそんなことを聞かれた。
「どうする、とは?」
「だから…その、イベントに行ってみる気があるなら、えっと…ちょっと付き合って欲しいんだけど…いや、無理にとは言わないが」妙に歯切れが悪いガイに笑いつつ、どうしたものかと考える。普段なら全く構わないが…夢見のせいでガイと二人になるのが、怖い。
「…やっぱ嫌か?」しゅんとなりながらガイが聞いてきた。
「向こうでルーク達と合流すれば良いのでは?」
「いやその…出来たら旦那の方が…」わかった。今のでピンときた。
「成程」
「?」
「何か音機関絡みですね?」
「!!」図星だったらしくガイは照れた様にまた頭を掻いた。
「宿の人に聞いたらイベントってフリーマーケットみたいなもんらしくて音機関の部品とかも有るって言ってたから…旦那じゃないと話が出来ないだろ?」ダメか?と聞いてくる姿が子供の様で、仕方がないと頷いて見せたら、彼は嬉しそうに笑った。
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