Livingroom

□貴方だけが、俺の全て
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苛立ちと寂しさを忘れようと躍起になって仕事に取り掛かったら、案外あっさりと終わってしまった。どうしよう。何かしたいけど、あいつがいないんじゃ何も面白くない。普段はあんなに色鮮やかで俺を夢中にさせる世界が、あいつがいない、それだけの理由でこんなにも―
「HA…随分色褪せてやがる」そう。幼い頃病を患い、世界が歪んでからずっと。あいつがいてくれたから、世界がちゃんと見えただけで、自分一人では、もう何も。
「…小十郎…」そっと呟いて窓を見る。お前は今何処にいる?何をしてる?早く、俺の傍に戻って来い。ちゃんとやることはやったから。これからはちゃんとやるから。だから。
「………っ……」何だか泣きそうになってきた。あの馬鹿野郎。一体いつまで、俺を一人にしておく気なんだ。
「あの…政宗様」ふいに待ち焦がれていた声がして慌てて振り返ると、困ったような顔をした小十郎と目が合った。
「失礼致しました。しかし声をかけてもお返事が無いものですから…」俺は皆まで聞かず、小十郎に抱き着いた。
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