Livingroom

□貴方だけが、俺の全て
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一瞬驚いた気配がしたものの、そっと俺の背に腕をまわして抱きしめてくれた。嗚呼、何でお前はこんなに優しいんだ?その優しさが嬉しくて、俺はいつも文句が言えなくなっちまう。
「どうなさいました?」あやす様に俺を撫でながらそう言うから、俺は何だか悔しくて。
「…別に、どうもしねぇよ」そっぽを向いて黙り込む。小十郎が微かに苦笑いをしたのがわかった。
「きちんと終えられたのですね」
「…当前だろ」
「では今日はもう自由になさって結構ですよ」
「………」お前がいなきゃ、自由なんて意味が無い。そんなこともわからないのか?
「政宗様?」俺が返事をしないことを訝しんで小十郎が俺の目を覗き込む。なんて情けない顔をしてるんだ、俺は。小十郎の着物の裾をきゅ、と握って、目を伏せて言う。
「じゃあ…ずっと俺の傍にいろ」小十郎が息をのんだ。俺は恥ずかしさの余り顔を背ける。すると小十郎の右手が俺の顎を掴んで上を向かされた。声を上げる間もなく唇を塞がれる。
「んっ…ふ………こ、じゅ」
「あまりお可愛らしいことをおっしゃらないで下さい…小十郎も今日一日貴方に会いたくて仕方なかったのですから」かあっと顔が赤くなったのを感じた。けれど、その腕が、表情が、声が、愛おしくて、嬉しくて。小十郎の首に腕をまわして、しっかりと抱き合う。
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