Livingroom

□そっくりで、全く違う 前編
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「!」茂みを掻き分けた先に、丸いモノがいた。いや、丸い形をしているのではなくて、身体を丸めているらしい。
「………」そぅっと近づいてよく見ると、それは人だった。衣服はやや泥に汚れ、靴にいたっては履いてすらいない。遭難者だろうか?
「…おい、大丈夫か?」少し躊躇った後声をかけてみる。残念ながらここで放って置ける様な性格をしてはいない。あの、常に冷徹で淡泊な男(一応恋人)がこの場にいたら甘いと言われるだろうか、なんて考えが頭の片隅に浮かんだ。
「…っ…」微かな息の音がして、その生き物が目を開けて、自分と、目が合った。

ドキリとした。その瞳の美しさと、その顔に。


















―その顔は、自分の恋人と同じだった。
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