聖闘士星矢夢

□Όλυμπος
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美しい海底神殿、アトランティス。
そこから海を見上げているのは、美しい女神だった。
そのそば近くに控えるのは、海龍のカノン。
先程より何も発せず佇むポセイドンを、カノンは悲痛な思いで瞳に映していた。
ほんの数日前、女神は異教の神の力を封じ込めるために殆どの神としての力を失ってしまう。
おそらくその神の力でやってきた、人間達を助けるために。
大きな怪我を負ってまで、彼女は彼らを助けたのだ。
自身も怪我で瀕死だというのに、ポセイドンは構わず凛と再び姿を見せて、シン達の前に立った。
その神を知らず妹と思い可愛がっていたという彼のために。
ポセイドンはシンの生きる道を示してやることで、絶望した心を浮上させてやったのだ。
しかしそれを悟らせることなく、彼らを赦し、仲間の元に戻してやった。
女神の慈悲深さに、カノンら海闘士達は涙を流す。


「…カノン」
「はっ、ここに」


静かに、ポセイドンがカノンを呼ぶ。
おそらく、聖域に使いに出たアイザックが戻ったことを小宇宙で感じ取ったのだろう。
カノンもそれに気付いており、ポセイドンの言葉を待った。


「妾はゼウスの所に行く」
「はっ、お供つかまつります」
「ソレント、おるか」
「ここに」


ポセイドンがそう呼べば、いつの間にか現れたソレントが姿を表す。
彼に留守の間の指揮を任せ、ポセイドンは己の弟神の住まう、オリンポスへと赴くのであった。








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