聖闘士星矢夢

□そして女神は…
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今日という日が夢ではないかと思った。
何度も自分の頬をつねってみるが、痛みは確かに感じて夢ではないのだと思い知る。
既に映画館内に来ており、後は上映を待つばかりだ。
隣の女神はスクリーンに映るCMを、席につく前に購入したポップコーンを食べながら眺めている。
かなりの至近距離に感じる想い人の温もりに、カノンはそわそわと落ち着きなく一緒に購入したコーヒーのカップに口をつけた。


「カノン…」
「はっ、どうかされましたか?」
「少しは落ち着け」


カノンの様子に気づいていたポセイドンは、瞳だけカノンに向けた。
己の行動が恥ずかしくなり、大きな体を縮こませる彼に、ポセイドンはポップコーンを一つ摘まむとカノンの口に押し込んだ。
驚いて目を見開き、ポセイドンの方を見る。


「お前も食べろ」
「しかし…」
「食べれぬか?」


カノンの反応を楽しむように、ポセイドンはまたポップコーンを摘まむ。
そんな風にされれば、カノンが敵う筈はない。
気に入ったのか、カノンにポップコーンを食べさせているポセイドンはどこか愉快げであった。
そしていよいよ本編が始まる合図なのか、音楽が消えて一瞬の静寂が館内を包んだ。
居住まいを正しそうとするカノンの髪を一束掴む。
軽く引っ張りカノンにだけ聞こえるように囁いた。


「次はネズミの国にでも行くか」
「えっ?!むぐっ」


大きな声をあげそうになったカノンの口の中に随分と減ってしまった残りのポップコーンを押し込む。
始まった映画に視線を向けるその美しい横顔を見て、カノンは押し込まれたポップコーンを噛みながら耳まで熱くなるのを感じていた。








end
夏リクエストです!
次回のデートの約束までしてしまいましたよ(笑)
散々悩んで定番のネズミの国を選択するという。
カノンはポセイドン様大好きですが、ポセイドン様も満更ではないんだ!っていうのを伝えたかった。
リクエスト有り難うございました(*´∀`)
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