ラッキーマン

□手を繋いで
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ぐしゃぐしゃと頭を撫でられ、ゆっくりその温もりが離れていく。
もっと触れていたくて、温もりが欲しくて。
努力は名残惜しそうに離れていく手を見ていた。
ぼうっとしている弟に、勝利は今度は手を差し伸べる。


「何やってんだ。とっとと帰ってメシにすんぞ」
「え?」


大きな炎の瞳を更に大きくして驚く努力に、勝利は強引にその手を掴み歩き出した。
必然努力は勝利の引く力により引っ張られるように歩き出す。
しかし歩幅はあくまで努力にあわせて歩く勝利の背中に、過去の背中が重なった。


『とっとと帰ってメシにすんぞ!』
『うん、兄ちゃん!』


夕方の帰り道。
勝利と努力は何も言わず、だが手は離さず。
いつもよりゆっくりと家へ帰っていった。









END




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