ラッキーマン

□ある日の物語
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そこに、誰かが近付いてきた。


「モーッこんなところで昼寝をするとは」


その男は背が高く、一見地求人に見えるが、正体は猛烈トレーニングマンで、地球滞在のために姿を変えている。

猛烈は一定の距離を保ち、努力の近くに腰かけた。


「まぁ、確かにこんなに暖かければ眠たくなるか」


子供のようにあどけなく眠る努力に、自然と猛烈も笑みが浮かんでくる。
本当は一緒にトレーニングをしようと思ってやってきたのだが、仕方ない、うるさい努力の兄達もいないので寝顔を堪能しようかと思った瞬間、殺気を感じた。
まさか努力の兄貴かとそちらを向くと、そこには黒髪をポニーテールにした色の白い男。


「何か用か、救世主」
「努力から離れろ」


間髪入れずそう返す救世主に、猛烈はまさかと思考を巡らせた。


「まさかお前…救世主も努力狙いなのか…」
「ふん…」


まさかそんな…とは思ったが、努力の魅力を考えると納得はいく。
かつて自分の蹴りを努力に見極めさせるために体をはった男だ。
何か特別な感情が無い限りあそこまでできないだろう。
素振りを見せなかったのは、あの兄達…特に勝利を警戒してのことか。
勝利に目をつけられると、命がいくつあっても足りない。
それは身をもって知っている。
こないだも、いきなり有無を言わさずクナイを投げられた。


「せっかくあの兄貴たちがいないんだ。それは断る」
「ふん、なら力ずくでどかせるのみ」


救世主が左手を猛烈に向ける。
猛烈は仕方ないと立ち上がり、軽く構えた。


「何度対戦しても、俺が勝つと思うがな」
「うるさい、必ず貴様をブラックホールに飛ばしてやる」


戦う理由はともあれ、殺気だつ二人を、一体誰が止めれるだろう。
同時に地面を蹴ると、目に止まらぬ速さで二人は戦う。
暫く何度も取っ組み合いをしていると、気がつくとかなり努力の至近距離に立ってしまった。

ここで簡単に説明すると、努力は長年の努力の末、眠っている間に至近距離に何かが近づくと努力返しをしてしまうのだ。

勿論、二人はそれを知っている。


「「あ…」」


二人が気づいた頃にはもう遅く。
二人めがけて努力の強烈なパンチが来る出されていた。
とっさに避けることもできず、二人はそのまま仲良く空の彼方に飛んでいってしまった。


「ん…?あれ?今誰かいたような…」
「お〜い、努力!」


目を覚ますと同時に、兄である友情が公園の入り口から努力を呼んだ。
努力は立ち上がりと、トコトコと次男に近づく。


「兄さん、さっき私の近くに誰かいませんでしたか?」
「え?いなかったよ。努力一人だったけど?」
「そうですか」


兄の言葉に素直に納得し、長男が待っているから早く帰ろうと手を繋いで帰路についた。
今日した修行のことを一生懸命話す努力に相槌を打ちながら、友情はこっそり二人が飛んでいった方を向いた。


「まさか猛烈と救世主がね…勝利兄さんに報告しないと」
「何か言いましたか?友情兄さん」
「ううん、何も言ってないよ?それで、その後どうしたの?」
「それでですね、」











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