ラッキーマン

□娘々物語
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前々から天然だと思っていたが…

こんなに天然だとは思わなかった…







努力の奴が中国に行って、帰ってきたと思ったら水を被ると女になっちまった。
いくら母さんとヒーローにしないと約束したからといって、まさか女にするようにとは1度だって頼まれたことはない。
父さんだって同じだろう…
ああ…俺、死んだら父さん達に何言われるか…

だが四六時中女ってわけじゃないんだから、水を被らないように気を付けてたら大丈夫な話だ。
普段の生活で、水を被るなんて早々ありはしないだろ?

なのに…だ…



「んで、水を飲もうとしたら手が滑って被っちまったってか?」
「はい、そうなんです…」


俺がそう言うと、一応事故とはいえ自分が悪いと反省してんのか、努力はしゅんっと肩を落としている。
しかもちらちらと上目遣いで俺の様子を伺ってきやがる…
誘ってんのか?


「まぁなっちまったのは仕方ねぇ。おら、帰るぞ」
「うぅ…はい…」


とぼとぼと俺の後ろをついてくる努力は、何か昔の泣き虫だった頃みたいで懐かしい。
仕方ねぇな…俺もコイツも…


「努力」
「はい?」


呼ぶと、キョトンとした顔で俺を見上げた。
兄貴の引け目なしで、こいつは今いい女だと思う。


「ほら、」
「え?」
「早くしろ!!」
「あ、ちょっ、勝利兄さん!?」


努力の手を掴むと、半ば強引に手を引いた。
昔、こいつがまだ小さい頃みたいに。
暫く引かれるだけだったが、ようやく手を繋いで帰っていることに気付いたらしく、少し恥ずかしそうに、だが手を振りほどくことはせずに隣を歩き出した。


ここが道端でなけりゃなぁ…


後ろに伸びる長い影を引き連れて、俺達は家に帰っていった。











翌日、俺らを目撃したらしい女子共が、彼女を作ったのかと散々質問攻めを受けたのは余談だ。

ちなみに答えは曖昧に濁してやったぜ!











end
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