ラッキーマン

□辛抱たまらん!!
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努力は顔を酒の力で真っ赤にし、焦点のあわない瞳でじっと空間を見ている。
しかも少しフラフラし始めた。
これはヤバイかと思った瞬間、勝利は努力に胸ぐらをつかまれグイッと引っ張られた。
不意をつかれたので抵抗もできず努力の方に身体を傾けると、ぷにっと唇に柔らかいものが触れた。
何事かと完全に思考回路が停止する。
目の前にはドアップの可愛くてしかたない努力の顔。
その向こうに驚き固まってしまった友情がいた。
ちなみに更にその後ろにいた一匹狼も動きを止めこちらを見ている。
まさかまさかと、ようやっと思考回路が回復してくる。
随分長いこと唇を塞いでいたものは、された時と反対にゆっくりと離れていく。
目の前にはトロンと瞳を潤ませた、やはり可愛くてしかたない努力。


「にいさぁん、ちゅーしてくださぁい」


キスされた!!と理解したと同時にまた努力に口をそれで塞がれる。
酒を呑むと、どうやらキス魔になってしまうようだ。
努力からのキスキタコレ(・∀・)状態の勝利は、やはり抵抗することはなく、むしろ積極的に唇を合わせていた。


「ぷはーっしょうりにいさんとちゅーしちゃいましたぁ」


したいだけしてにっこり笑う努力に、勝利のボルテージはMAX状態だ。
今なら空だって飛べそうだ。いや、飛べるけども。
例えるならそんな感じ。
歓喜にフルフルと震える勝利をそのままに、努力は今度は友情に向かい直る。
そしてやっぱりにこ〜っと可愛らしく笑うと、友情にもキスをした。


「ど、努力っうむっ」
「ん〜」


兄の反応が怖いので止めようとするが、やはり友情も可愛い弟には強く出ることはできず、勝利の時と同じ様にキスされた。
それを見た勝利は、先程までの幸せそうな表情から一転、鬼のような形相で友情を睨んでくる。
日本で聞いた般若とは、きっとこのことなんだろうと心で泣いた。
勝利は友情から努力を引き離すと、自分に向き直させて普段しないような笑顔を見せた。


「努力、俺が一杯キスしてやるよ」
「わぁ〜、ほんとーですかぁ?」
「おう、本当だ。友情…」
「分かってますよ…会長には言っておきます」


これ以上巻き込まれたくない友情は、ため息をつきながら早く行くように促した。
勝利は努力を姫抱きすると、そそくさと宴会を後にしてしまう。


「あれ、勝利マンと努力ちゃんはどうしたの?」


暫くして二人がいないことに気がついたラッキーマンの質問に、げんなりしながら先に帰ったことを告げる友情が見受けられた。


「友情も大変ガル…」
「君だけだよ、分かってくれるのは…」












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