聖闘士星矢2

□いつか必ず
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「童虎、いるか?」


小宇宙で居ることは分かっていても、シオンはそう問いかけながら天秤宮の中を覗く。
すると、いつもよりもぐしゃぐしゃになった焦茶の髪を揺らしながら目当ての人が中から出てきた。


「シオン、よう来たのう」


ふにゃりと笑う童虎に、シオンの頬も緩む。
近寄って髪を正してやった。


「どうして髪がぐしゃぐしゃになってるんだ?」
「さっきからのう、ここを通るシジフォス達に何故か頭を撫でられるんじゃ」


拗ねるような口振りであったが、嬉しそうな顔は抑えられていない。
その理由は容易に察することができて、シオンは苦笑した。
今日は童虎の誕生日である。
何かと慕われる童虎なので、頭を撫でられながら祝いの言葉を貰ったのだろう。
童虎が大切にされているのは嬉しいのだが、少々妬けてしまうのはシオンが童虎に想いを寄せているからであろうか。
童虎も童虎とて、その想いに応えてはくれているのだが。


「童虎、改めて言うが、誕生日おめでとう」
「うむ、有り難う」


照れ臭そうに自分を見上げる彼に、シオンは溢れる想いのまま抱き締めた。
それに戸惑いながらも返してくれる愛しい恋人に、シオンは愛しさが募る一方だった。
名残惜しいが少しだけ離れて、用意してあったプレゼントの小箱を取り出す。
それを童虎に手渡す。


「お、プレゼントか。嬉しいのう」
「開けてみてくれないか?」


シオンに言われるままに、丁寧に包装を解いていく。
そこから現れたものを見て、童虎は目を見開いた。
シオンを見上げると、とろけるように破願している。


「受け取ってもらえると嬉しいのだが」
「ゆ、指輪ってお前…」
「私がデザインして作ったんだ」


指輪を小箱から取り出し、そっと童虎の手を取る。
左手の薬指にそれを嵌めていくと、ピッタリと収まった。


「今でなくていい。いつか、な?」
「あ、アホ…わしは男じゃぞ?」
「それは関係ないだろ?」


男だとかそういうのは今更である。
シオンは彼が童虎であるからこそ、こんなにも心奪われるのだ。
そう言われてしまえば、童虎は真っ赤になって押し黙るしかなかった。
少々の葛藤の後、童虎はシオンの長い髪を掴み引き寄せるように力を込める。
突然の事になすがままであったシオンの唇に、童虎のそれが重なる。
触れるだけのそれは、あっという間に離れていく。


「こ、これが返事じゃ…」


これ以上ないくらい真っ赤な恋人に、シオンが留まることなどできず。
思わず小宇宙を爆発させてしまい騒ぎを何事かと駆けつけた仲間に、説教されながらも誕生日とは別の祝いの言葉を貰ったのは別の話である。









end
何書こうかなって悩んだまま書いてみたらこうなった\(^o^)/
もうね、結婚すればいいよ?
童虎ちゃん誕生日おめでとう!!!!

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