混合

□Lesen fur Kinder
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すっかりと夜もふけこんだ頃。
巨蟹宮では食事会と称して、黄金と珍しく一輝も含めた青銅の五人が揃っていた。
賑やかにマリアの手料理を堪能し、弟であるルートヴィッヒが限界を迎えたため、その小さな体を抱き上げて二人で利用しているベッドに横たえた。


「姉さん…」
「片付け終わったら戻ってくるから」
「分かった」
「お休み可愛いルッツ」
「お休み、姉さん」


安心させるように額に口付ける。
それだけでルートヴィッヒは安堵の表情を見せて瞳を閉じた。
直ぐに聞こえてくる心地好い寝息に、マリアの頬が緩む。
起こさないようにそっとその場を離れ、リビングに戻ってみると貴鬼を寝かしつけてきたムウとはち合わせた。
そして残っているメンバーを見てみれば、年長年中と呼ばれるメンバーと童虎とシオンはまだまだこれからと言うように酒を楽しんでおり、年少と一輝を除く青銅達はどこか眠そうにしていた。
ただシャカに関しては目を閉じているので定かではなかったが。


「何だ、眠そうな奴等が多いな」
「そうですね。お開きにしましょうか」


苦笑しながら二人がそう言うと、丁度近くに座っていた星矢が大きく異を唱えた。
しかしどう見ても夢の国まであと一歩の様子だったが、星矢に賛成して瞬や氷河も参戦してきたのでますます苦笑が漏れる。
さてどうやって納得させるかと考えていると、アイオロスがマリアを呼んだ。


「どうしたんだよ」
「いや、まだまだ寝入りが悪いようだからな、お前の話を聞かせてやってはどうかと思ってな」
「俺の話?」


アイオロスの申し出にきょとりと目を瞬かせる。
何故かと瞳で問うてみると、代わりにサガが説明した。


「以前、お前が任務の帰りにドイツに寄ったと言っていただろ?今それの話をしていたのだ」
「あー、あれな」


サガの説明に、マリアは納得したように軽く頷く。
以前、とある任務の帰りにドイツのサンスーシ宮殿に寄った。
勿論、フリードリヒの墓参りである。
沢山のジャガイモと花束を買い込んで、敬愛する大王に供えてきた。
その話をサガとアイオロスにしたことがある。
マリアが前世、国の化身であることは既に仲間の知るところだ。
その為、マリアを慕う者は彼女の歴史を進んで知ろうとしていることは知っている。
ふと見ると、年下達の期待に満ちた瞳とぶつかる。
マリアは一つ息をつくと、聞いたら寝るんだぞと言ってソファに身体を沈めた。








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