混合

□ほのぼの日和
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今生のアテナは、女神と令嬢の二足のわらじで忙しく日本とギリシャを行き来していた。
本日は、漸くとることのできた休日のようで、ギリシャから日本に帰国する予定である。
日本のグラード財団の本邸と同じ敷地内にある別邸に住んでいるのは、幾度もアテナと共に世界を救った若き青銅の兄弟達が住んでいた。


「今日だっけ、沙織さんが帰ってくるの」
「うん、もうすぐ着くんじゃないかな?」


オヤツのドーナツを頬張りながら、星矢が瞬に問う。
紅茶を飲みながらそう返せば、氷河がチラリと壁にかけてある時計を見た。


「今日は早い帰りなんだな」
「ああ、何時もは夜だからな」


紫龍は星矢の口元を拭ってやりながら、氷河に微笑む。
完全に母親だ。
すると、タイミングを見計らったかのように、四人がいたリビングに誰かが入ってきた。


「皆、ただいま」
「「「沙織さん!!」」」


入ってきたのは噂の女神で、ニコニコと笑みを浮かばせていた。
とてもご機嫌のようだ。
しかし星矢達は、アテナの腕の中のものに目を奪われる。


「さぁ、ご挨拶ですよ、デスマスク」
「はぁい!兄ちゃん達こんにちわー」


アテナに促されながら、腕の中のデスマスクがふにゃりと笑いながら挨拶をした。
そんなデスマスクに、アテナは良くできましたねと、頭を撫でる。
星矢達といえば、状況が掴めずただただ呆然と二人を見るばかり。
デスマスクはアテナの腕から降りると、動かない星矢達を不思議に思いコテンと可愛らしく首を傾げた。


「あれあれ、兄ちゃん達どうしたの?」
「ふふふ、きっとビックリしてるだけですよ」
「そうなんだぁ」


アテナの説明に納得して、デスマスクは星矢達に久しぶりだねと話しかけた。
いや、確かに驚いてはいるのだけれども。


「ひ、久しぶりだなデスマスク。今日はどうしたんだ?」
「あのね、僕ね、アテナ様のごえーなんだよ」


凄いでしょと胸を張るデスマスクに、紫龍は苦笑しか出てこなかった。
今までアテナの護衛は他の黄金達の仕事で、一度もデスマスクに回ってきたことはない。
むしろ、させない。
幼児ということもあるが、可愛らしい外見で可愛らしい性格をしているデスマスクは、聖域のマスコット的存在だ。
黄金だけではなく、白銀や他の青銅、はたまた雑兵に至るまで多くの者に愛されている。
そんなデスマスクを、聖域から連れだそうものなら、聖域全体を敵に回すようなものだ。
それをよく、護衛として日本までやって来てこれたものだと、それで驚いているのである。


「私がお願いしたんですよ」


アテナを見れば、とてつもなくいい笑顔をしていた。
それだけで、何だか全ての経緯を察することができた気がする。
四人は心の中で黄金聖闘士達に合掌した。









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