混合

□ご飯にパスタは出ますか?
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サガと手を繋いで十二宮の階段を登る。
途中でシュラとアフロディーテに出会ったので、一緒に教皇宮に向かった。


「パンドラさんに会うの久しぶりだなぁ」
「そういえば、向こうが聖域に来るのは初めてじゃないか?」
「ああ、そうだな」


るんるんと足取り軽くご機嫌なデスマスクに、アフロディーテがシュラに訊ねた。
聖戦が終わってから何度か話し合いなどはあったが、殆ど冥界か海界が多く聖域での会合は初めてだった。
それ故か、ここ数日は聖域全体が緊迫した空気に包まれている。


「あ、見てシュラ兄ちゃん、可愛いお花があるよ」
「ああ、そうだな」
「パンドラさんにあげてもいいかな?」
「ああ、きっと喜ぶぞ」


緊迫した空気を読んでいないのか、デスマスクはマイペースに花を摘んでいる。
数本手に取ると、デスマスクはお待たせと三人の元に戻ってきた。


「えへへ、一杯摘んじゃった」
「パンドラも喜ぶだろう」
「あ、でもね、これはサガ兄ちゃんにあげるね」


はいと手渡されたのは、デスマスクが摘んでいた花一輪。
サガだけではなくシュラやアフロディーテにもあげると差し出していた。
デスマスクを見ると、ニコニコと見上げている。
その無邪気な優しさに、またサガが感極まって涙を流したのは言うまでもない。
そんなこんなで漸く教皇宮に辿り着くと、扉を開いた瞬間に何かがデスマスクを抱き上げた。
驚いて見ると、そこには無表情ながらも心配していたと言わんばかりのカミュ。


「デスマスク、遅かったな。何かあったのか?苛められたのか?安心しろ、そんなやつは私がダイヤモンドダストでやっつけてやる」
「カミュ、落ち着けって!!」


無表情にとんでもないことを口走る親友に、ミロが慌てて止めに入る。
ぱちぱちと瞳を瞬かせ、デスマスクは遅れてごめんなさいと謝った。
それに次回から遅れる時は小宇宙で連絡するようにと、優しく頭を撫でる。


「どうでもいいが、早く中に入りたまへ」
「そうですよ、あなた達が最後なんですから」


入口付近でのやり取りが一段落ついたのを見計らい、シャカとムウが中に入ってくるよう促す。
二人に言われ断る理由もなく、カミュはデスマスクを下ろしてやる。


「あ、そうだ!カミュ兄ちゃん、ミロ兄ちゃん、これあげるね」
「これって…花?」
「有り難うデスマスク。一生の宝にしよう」
「大袈裟ですねぇ」
「ムウ兄ちゃんとシャカ兄ちゃんにも、はい」
「ほう、私に捧げ物かね。よい心がけだ」
「有り難うございます、デスマスク」


よしよしとムウが頭を撫でてやると、デスマスクは嬉しそうに笑った。
教皇シオンの待つ部屋までくると、丁度中からアイオロスとアイオリアが扉を開ける。


「ロス兄ちゃん、リア兄ちゃん、これあげるね」
「私達にか?有り難う、デスマスク」
「花かぁ…すぐ枯らしてしまいそうだ」


アイオロスとアイオリアにも花を差し出すと、兄弟は有り難うと受け取ってくれたが、折角デスマスクから貰った花を枯らすかもしれないと、アイオリアは太く男らしい眉尻を下げた。
デスマスクの後ろから、カミュがならば永久凍結をしてやろうと提案し、それはいいとアイオロスが賛同するのをサガとミロが止めた。
アフロディーテが後で押し花にしてやろう告げれば、少々不満そうであったが首を縦に振る。
そんな大人達の足元で、デスマスクは部屋の中を覗いた。
まだ冥界からの客人は来ていないらしい。
中で童虎を見つけて、デスマスクは嬉しそうに近づいた。


「童虎じいちゃぁん、久しぶりだねぇ」
「おお、おお。元気そうじゃなデスマスク。久しぶりじゃのう」


駆け寄ってきたデスマスクを受け止めて、童虎はニコニコと抱き上げた。
隣ではシオンが羨ましいと視線で訴えている。
アルデバランもそのとなりにいて、微笑ましそうに眺めている。


「童虎じいちゃん、これあげるのー」
「おお、可愛らしい花じゃなぁ。お主が摘んだのか?」
「うん、シオン様とアル兄ちゃんもはい」
「ああ、有り難う」
「デスマスクーっ!!お前はなんて可愛いんだー!!」


照れくさそうに受け取るアルデバランと、感激して童虎からデスマスクを奪って抱き締めるシオン。
完全に孫を溺愛しているお爺ちゃんだ。


「シオン様ぁ、アテナ様は?」
「ああ、アテナなら今準備をしている最中だ」
「そうなんだぁ、あのね、アテナ様にもお花渡していいかな?」
「ああ、ああ、いいぞ。きっとアテナもお喜びになる」


それを聞いて、シオンに抱かれながらどれを渡そうかなと、手にある花束を楽しそうに眺めた。
それから数分後、アテナが黄金達の前に姿を表す。
アテナを見るや否や、シオンに下ろしてもらい、トテトテと近付いて花を差し出した。
アテナはそれを嬉しそうに、綺麗な微笑みを浮かべて受け取る。
そしていよいよ、冥界からパンドラ達がやってくる時間になった。









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