混合
□優しいお話
2ページ/4ページ
デスマスクが違う世界の聖域にやって来て数日経った。
最初は怯え戸惑っていたが、次第に慣れてきた様子で、今日もにこやかに巨蟹宮の中を掃除している。
「まぁるかいて地球、まぁるかいて地球♪」
「おいちび、掃除終わったのかよ」
「あ、兄ちゃん」
上機嫌に歌を歌いながら掃除をしているところに、こちらの世界のデスマスクがやってくる。
初めてこの世界に来てしまったとき、お腹をすかせたデスマスクにパスタを作ってやった日から、また同じ蟹座の黄金聖闘士のためか、彼にすこぶる懐いていた。
この聖域の死神とも呼ばれる彼を、デスマスクは恐れることはない。
てこてことデスマスクに駆け寄りながら、どうかしたのかと訊ねれば、ジェラートは好きかと聞かれた。
「うん、僕ジェラート大好きだよ!!」
「なら今日のおやつは決まりだな…」
「ヴェ♪楽しみだなぁ。僕、兄ちゃんのおやつみぃんな好きだよ」
ヴェッヴェッと言いながら、小さなデスマスクはニコニコと大きなデスマスクを見上げた。
純粋に褒めてくるその瞳がこそばゆく、デスマスクはぶっきらぼうにしながらも、小さな同居人の頭を撫でた。
「ねぇ兄ちゃん、僕イチゴのジェラートがいいなぁ」
「あ〜、確かこの前買ったな…わぁったよ」
「わぁい」
冷蔵庫にある材料を思い浮かべながら、デスマスクは小さなデスマスクを抱き上げると巨蟹宮の奥に戻って行った。
.