混合

□海底より愛を込めて
1ページ/4ページ



「ヴェ?これをカノン兄ちゃんに?」
「ああ、頼めるか?」


サガから手渡された書類を見て、またサガを見上げる。
デスマスクが持っている書類は、聖域から海界にいるカノンへ向けた、大事な書類である。
これまで冥界には何度もお使いには行ったことがあるが、海界は初めてであり、少し不安そうだ。
負けそうになる心に叱咤しながら、サガが常の笑顔を見せてもう一度確認する。


「僕、海界は初めて…怖くないかなぁ?」
「うわぁぁぁぁぁああああっ!!デスすまない!!お前を一人でお使いに出すなんて早すぎたんだぁぁぁあああっ!!」
「心折れるの早すぎだろ、サガ…」


デスマスクを抱き上げて滝涙を流すサガに、共に教皇宮で勤めていたアイオロスが苦笑する。
しかしサガの言うこともよくわかると、うんうん頷いているのは教皇シオンその人だ。


「しかし、これも立派な黄金聖闘士になるための試練だ。お前も賛成しただろ、サガよ」
「しかし、教皇!!このように可愛らしいデスマスクが、いくらカノンがいるからと初めて海界に、ひ、ひ、一人でお使いなんて!!」


泣き叫ぶサガ。
アイオロスとシオンは困ったように互いを見合わせると、その腕の中に抱かれていたデスマスクがサガを見上げた。


「サガ兄ちゃん泣かないで?僕、怖いけど頑張るよ」
「あぁっデス…お前はなんていい子なんだ」


デスマスクの優しさに再び涙が溢れる。
いつまでもデスマスクを離そうとしないサガからデスマスクを奪い、アイオロスがにかりと爽やかに笑って見せた。


「頑張るんだぞ、デス」
「うん、僕頑張るよ、ロス兄ちゃん」
「ああ、デス…なんて健気な…」
「サガよ、いい加減鬱陶しいぞ」

















次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ