混合

□ハローハロー
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原因は今のところは全くの不明だが、何故か聖域ごとかの有名な三國志の世界に来てしまった。
知らない場所に怯える幼児をあやしながら、何とか他の国と平定を結び付けることに成功したアテナである。
その際に、聖域は新たな戦力として呂布軍を手に入れることができた。
といっても、放浪中の彼らを受け入れただけなのだけども。
それでも放浪で疲れを癒すためには何処かに留まる他無く、彼の最愛の女性である貂蝉の進言を聞き入れただけに過ぎなかったのだが、それでも数日経てば少しずつだが聖域に慣れていき、そしてアテナと呂布との間に何かあったかは知らないが、呂布は確かにアテナに対して信頼を置いていた。
傍若無人と恐れられた獣を手懐けた手腕は既に三国に知れ渡っている事実である。
そんな頃、日向ぼっこをしていた呂布とデスマスクの元を、張遼が訪ねてきた。


「呂布殿、デスマスクと二人でここにいたんですね」
「何だ、張遼か…」
「張遼兄ちゃんだぁ」


呂布がかいている胡座の間に座りなが、デスマスクがにこにこと張遼を見上げる。
可愛らしい笑みに、張遼の頬も緩んだ。
そんな張遼にどうかしたのかと、探していた理由を聞けば、アテナがデスマスクを探しているとの事。


「ヴェ?そうなの?何だろ〜。有り難う張遼兄ちゃん!!」
「いやいや、構いませんぞ。しかし急いで向かった方がいいかもしれんな」
「うん分かった、僕アテナ様のところに行ってくるね。呂布兄ちゃんも有り難う」


デスマスクは呂布の足の上から下ろしてもらうと、手を振りながらとてとてと教皇宮に向かっていった。
残された二人はデスマスクの姿が見えなくなるまで見送り、やがてのそりと立ち上がった呂布が張遼に手合わせするように告げるのであった。
またデスマスクといえば、急いだ方がいいという張遼のアドバイスに、光速で十二宮を駆け抜けていく。
あっという間に教皇宮に辿り着くと、教皇の間に続く扉を開けた。


「蟹座のデスマスク、来ましたぁ」
「おおデスマスク、待っておったぞ」


アテナの座る玉座の傍にいたシオンが、デスマスクの姿を確認するとでれりとした顔でおいでおいでと手招きした。
それにつられて、デスマスクはとことことシオンの傍まで歩いてくる。
近くにはサガとアイオロスもいて、よちよち歩くデスマスクの姿に癒されていた。
まぁサガに至っては、あまりの可愛らしさにスマートフォンでムービーを撮る始末。
彼のフォルダーには、デスマスクの写真やムービーが沢山あった。
仕事で疲れた時、ストレスで黒くなりかけた時にはこれを見て身心を癒している。
非常に端から見れば怪しい光景だが、言わずもともここ聖域では当たり前の事であり、サガのみならず聖闘士なら当たり前のようにデスマスクの写真を持っている。
おい、お前ら女神はいいのかと言いたいところだが、仕方無い、相手はデスマスクなのだから。
そして何気無く高性能なカメラでデスマスクを撮りまくっているのがアテナ自身なのだから、これでいいのかもしれない。
さて、シオンの元までやって来たデスマスクを、アテナはひょいと抱き上げた。
そして玉座に座る自分の膝に座らせると、にこりと微笑んで見せる。


「デスマスク、貴方にお願いが有るのですが」
「なぁに?アテナ様」
「サガ」
「はっ」


アテナがサガを呼ぶと、彼は書簡らしきものを三つ取り出してデスマスクに見せた。
きょとりと、それを見上げるデスマスク。
アテナは再び微笑みながら、幼児に言い聞かせるように話し出す。


「これを、魏、呉、蜀にそれぞれ一つずつ、それぞれの殿様に渡してきてくれますか?」
「ヴェ?」
「ようは、お使いを頼みたいのだ」


アテナの言葉がよくわかっていないデスマスクに、シオンが分かりやすく説明してやる。
この三つの書簡はとても大切なものであり、是非ともそれをデスマスクに渡してきてほしいのだ。
それに不安そうに見上げてくるデスマスクに、アテナは勿論一人ではありませんよと安心させる。


「シュラ、アフロディーテ」
「はい、ここに」


アテナが呼ぶと、いつの間に来たのかシュラとアフロディーテが膝をつき、頭を垂れていた。
手には、ハンディカムと、一眼レフカメラ。
わざわざ聖衣まで纏っている。
二人が一緒であれば心強いと、デスマスクに笑みが戻る。
アテナがもう一度デスマスクに問いかけると、元気のいいお返事が教皇の間に響いた。










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