Gガンダム

□傘一つ
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雨が降っていると気が付いたのは、店を出てからである。
生憎傘など持ち合わせていなかったので、どうしようかと考えた。
小雨ではなく、かと言って土砂降りではなく。
濡れて帰るのもあまり気分が乗らない、そんな時。
呆れたような声がチボデーを呼んだ。


「何してんだよ、こんなとこで」
「それはこっちの台詞だ、ばか」


チボデーの疑問に嘆息まじりに返す。
ドモンはチボデーのそばまで来ると、先程のチボデーの言葉をそっくりそのまま繰り返す。


「いやぁよ、傘忘れてさ」
「天気予報見てないのか?」
「見るの忘れてた」


だからこうして雨宿りしていると伝えれば、少しだけ考えるそぶりを見せる。
そして周りに誰もいないことを確認すると、ずいっと傘を差し出してきた。
訳が分からず瞬いていると、だんだんドモンの頬に朱が入る。


「お前が持つなら入れてやる」


自分が愛してやまない恋人にそんなことを言われて、傘に入らない訳がない。
チボデーは嬉々として、差し出された傘を手に取った。








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