ラッキーマン

□手を繋いで
1ページ/4ページ

昔から、あの人の手は温かかった。







学校の帰り道、いつもなら3兄弟で仲良く並んで帰っていたが、今日は次男である友情が友達と遊びに行くとのことで長男と三男で歩いていた。


「それでですね、その時師匠が…」


先程から本日あった出来事を、努力が勝利に伝えている。
一生懸命に話している弟は目に入れても痛くないほど可愛いのだけれども…
いかせん内容はほとんど彼の師匠である追手内洋一のことばかり。
人間の姿になるとどういうわけか外見年齢が兄弟揃って同じで(しかしそれでも末弟は幼いように見えるけども)、通う学校もクラスも同じなのだからいちいち報告されてもだいたい中身は自身で見て知っている。
それでもたまに、無邪気に師を慕う弟を見たくなくて視線をそらしてしまう。
昔は自分の後を兄ちゃん兄ちゃんとついてきていたのに。



あのセンヌキのことがなければ、今も変わらずそうであっただろうか。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ