ラッキーマン

□特効薬
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珍しいこともあるもんだ。
勝利はベッドの上で荒く息をする努力を見下ろしていた。




努力が風邪を引いた。
しかしインフルエンザやそういった類のものではなく、ただ単に高熱が出ている状態。
先ほど計った時には、39.5℃という数字。
例え普段鍛えられているといっても、この数字は高すぎる。
病院に行こうにも、宇宙人の診察などしている病院が地球にあるはずもなく、仕方ないので現在は友情の友達である宇宙人の医者を待つばかりである。


「おい友情!医者はまだか?!」
「待って下さいよ兄さん。さっき連絡したところじゃない」


いくらなんでももう少しかかりますよと、友情はせかす兄にため息をついた。
その後ろでは同様に、一匹狼マンも呆れたように勝利を見やる。

努力が熱を出してかれこれ何度目かのやり取り。

弟のことになると、特に末弟のことになると普段の冷静さなどどこへやら。
勝利は先ほどからうろうろと努力のベッドの周りを歩き、額の上のタオルを甲斐甲斐しく代えてやっている。


「兄さん、近くの薬局で冷えピタ買ってきますよ。多分もう少し時間かかるだろうし、他にも何かあれば買っておきたいので」
「ああ、分かった。早く買ってこい」


振り向かずそう言う兄に、やれやれと肩をすくめると、友情は一匹狼と一緒に外に出た。
もちろん彼だって末弟は可愛い。
先ほど救急箱を見て、役に立てそうなものが殆どなく何故補充しておかなかったのかと悔やんだくらいだ。
友情は早く帰ってやろうと、顔を赤くし息を荒くして眠る努力を脳裏に浮かべ急ぎ足で薬局に向かった。
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