ラッキーマン

□気が付けば
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一度気になり出したら止まらなくなった。













ふと、誰もいないリビングで一人ソファに座っていると、自分達兄弟について考えてみた。
普段考えることなどしなかったが、どうしてこうも三人とも似ていないのだろうか?


一番上の兄は、勝ち気で頼りになり、勝つためには手段は選ばないが弟にはとても優しい人。


二番目の兄は、友が多く情に厚くそしてやはり兄弟にはとても優しい人。


三番目の自分は、努力なら誰にも負ける気はないが、それ以外に取り柄はあるのだろうか?


そもそも似ているところはあるのだろうか?

考えても考えても答えは出そうにない。
すると、玄関から兄たちの帰宅の声がした。


「ただいま、努力」
「兄さんたち、お帰りなさい」


いつもなら明るく出迎えてくれる弟が、今日はどことなく元気がないように見える。
勝利と友情は顔を見合わすと、末弟にどうかしたのかと尋ねた。
しかし尋ねられても答えようがない努力は、なんでもありませんと首を横に振る。


「努力、兄さんたちを騙そうなんて甘いよ?努力のことは何でも分かるんだから」
「友情兄さん…」


友情の真剣な顔に、兄の真剣さが伝わってくる。
勝利を見ると、やはり友情と同じように真剣な眼差しで努力を見ていた。
とうとう観念したのか、努力は先程考えていたことをポツリポツリと話し出した。
全て話終えるまで勝利と友情は何も言わず聞いていたが話が終わると、呆れたように努力を見た。


「馬鹿だなぁ、そんなこと考えていたのか?」
「似てなくても、俺達は兄弟だろうが」



少し笑いながら、自分が考えても出せなかった結論を簡単に出してしまう兄たちに、努力は大きな焔の瞳を見開いた。


「あんまり深く考えるもんでもないだろ?それとも何か?俺らが兄弟じゃ嫌だってか?」
「そ、そんなことないです!兄さんたちは僕の自慢の兄さんたちです!!」


勝利の言葉に、慌てて否定する。
すると勝利はいきなり努力の頭を乱暴に撫でた。
痛かったが、昔からのその行為に懐かしくなる。

「なら、それでいいだろ?」




例え見た目は似ていなくても、兄弟に変わらない。
自分の大好きで、優しくて自慢の兄であることには変わらないのだ。
努力はようやっと笑顔を見せると、兄たちに抱きついた。









end





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