ラッキーマン

□夢の中でも
1ページ/2ページ



真っ暗な部屋の中。
時間はとっくに日付を越えていて、生物が静かに眠りについている時間。
そんな中で、勝利はゴロンとベッドの上で寝返りをうった。


眠れない…


実はかれこれ二桁目の寝返りである。
どういうわけか眠れない。
何度寝返りをしてもどうしても眠れなかった。
だが身体は確かに疲労しているし、このまま一睡もしないで学校になど行ったらテンションが大変なことになる。
どうにかして眠らなければならない。
そういえば、地球では眠れないときに羊を数えるのだと教えて貰った。
試しに数えてもいいかもしれない。


「羊が一匹…羊が二匹…」


頭の中で羊を思い浮かべながら、勝利は羊を数えていった。
だが30匹を越えたところで、何故羊なのかという今更な疑問が出てきた。
理由はあるのかもしれないが、そこまで教えてもらっていない。
なら別に、違うものでもいいのではないだろうか。
例えば自分の好きなものとか…努力とか…
なら早速数えてみるかと、勝利はもう一度、今度は努力を数え始めた。


「努力が一匹…努力が二匹…」


単位が間違っているが仕方ない。
勝利の脳内の努力は羊の角と耳を生やし、もこもこした羊毛100%の服(しかも何故か胸と局部と手首と足首のみ)を着た、なんとも愛らしい姿をしていたのだ。
まぁとにかく、努力を数えて数分後。
脳内の努力は勝利をあっという間に囲むほど増え、愛らしい顏(かんばせ)を向けてくる。
しかも口々に勝利兄さん、兄さんと甘えてくるではないか。
なんというハーレム!!たまらん!!
勝利は大変満足だった。
しかし、満足はしたものの…


「よ、よけい目が冴えた…」


更に眠れなくなってしまったではないか。
しかも無性に努力の顔が見たくなってきた。
どうせ眠れないのだ、努力の寝顔を見てくるかと身体を起こすと、勝利は努力の部屋に行くために自室のドアを開けた。












.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ