ラッキーマン

□プレゼント
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まだ自分が小さい頃、いつもサンタさんがプレゼントをくれていた。



「わぁ、雪ですね勝利兄さん!!」
「ああ、そうだな」


友情に言われたおつかいをこなし、二人は夕暮れ時の蒲生の街を歩いていた。
夕陽に照らされて長くなる影が二人を追いかけている。
丁度お昼頃降りだした雪は、積もることはなかったがやむこともなくしんしんと降り注いでいる。
気温は決して暖かくはなかったが、寒いだろうと兄に繋がれた手からの温もりだけで充分だ。


「積もりませんねぇ」
「そうだな。ここら辺ってなかなか積もらないらしいしな」
「残念です」


しょんぼりとしながらそう言うと、勝利は苦笑しながらしょうがねぇだろと言った。
まぁそうなのだがと兄に向けた視線を戻すと、母子が仲良く手を繋いで歩いている。
母親の手には、おそらくケーキだと思われる箱。


「サンタさん来るかなぁ」
「いい子にしてたら来るわよ」
「うん、いい子にしてる!!」


微笑ましい光景に、自然と口元が緩む。
サンタさんを信じている、可愛らしい子供。
昔、努力にだってサンタを信じている時があった。
寝ている間にプレゼントを枕元に置いて行ってくれる、憧れの老人。
だけどもいつしか、そのサンタが誰であるのか知ることになる。
だけどもそんな努力に、途切れることなくプレゼントは届いていた。


「ほら、早く帰るぞ」
「はい、兄さん」






小さい頃、いつもサンタさんがプレゼントをくれていた。






そっと勝利を見上げる。






私のサンタさんは、誰よりも尊敬できるあなたでした。
それはきっと、この先も変わることはないのでしょう。






大切に大切にされていた、子供時代。







もう二度と、大切なサンタが離れないように。


ただそれだけを願う












end
 

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