三、駄 文
□図書戦 堂郁☆
香。
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図書特殊部隊 事務室の窓を開けると風に乗って、金木犀の甘い香りが鼻をくすぐる。
「いい匂い!」
そこに事務室の扉が開き、入ってきたのは、堂上や小牧両教官だった。いつまでも、開けていると寒いので窓を閉める。
「お疲れ様です。」
巡回を終えて先に戻っていた郁と手塚。だが、部屋に手塚の姿が見えなかったので、小牧が所在を聞いた。
「手塚は?」
郁は、窓際に立ったまま「さっき携帯が鳴っていたので、電話だと思います。」と答えた。
「問題はなかったか?」
「はい、問題なかったです。」
班長で恋人の堂上に聞かれて、神妙な態度で巡回の報告をした。
「あ、コーヒー淹れますね。」
と郁は、事務室を出て行った。
「なんか甘い香りしない?」
先ほどから、小牧がその「香り」の正体を探っている。小牧に言われて「そういえば...」と堂上も同じように探すが、その正体を発見することが出来なかった。気のせいだろうと話していると、手塚が事務室に入ってきた。
「手塚、甘い香りしない?」
小牧が聞くと、手塚は何も感じないのか、「分かりません」淡々と答えた。
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