四、駄文A

□ボクの宝物
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ボクは、今日も家の近くの神社に来ていた。
木が多くて、外の空間とは隔離された空間のようで好きな場所だった。

ボクのお目当ては、

「稔!」

ボクの名前を呼んだその人は、御守りをいっぱい置いた場所から、窓を開けてボクに手招きした。
呼ばれて、ボクは走った。

「こんにちは!」

頬を赤くして、お兄ちゃんのところまで駆け寄った。
お兄ちゃんの名前は、高須 辰巳(たかす たつみ)さんといって、神社の神主さんをしている。若いお兄ちゃんなのだ。
お母さんが云ってたけど、神主さんっていうのは、神さまが居るお家を守ったり、ご飯出したりする人なんだって。

ボクとお兄ちゃんの出逢いは、ある昼下がり。
ボクと隆くんで、神社の木を登って遊んでいた。ボクが、短いけど太い枝に手を掛けたとき 枝が折れてしまった。
ボクの躰も、真っ逆さまに落ちていく。
恐くて、目を瞑って強い衝撃に耐えようとした。だけど、そんなに強い衝撃はなかった。
恐る恐る、目を開けると お兄ちゃんが抱きとめてくれていた。


「大丈夫?怪我はない?」


そのあと、こっぴどくお母さんに怒られたことは、云うまでもないけど、以来 ずうっとお兄ちゃんのところに通っている。


お兄ちゃんのことが、大好きなのだ。
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