LOST CANVASの章
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15歳の春、ジャミールの書庫と言うべき場所でハクは書物に手を伸ばしていた
其処は、聖域には及ばないだろうが神話の時代より受け継がれる重要な書物が幾つも眠っている
そのため、ジャミールにとって神聖な場所と言える一つの場所だった
そして、努力と年月を重ねていく内に実力を伸ばしたハクは、そこを管理する祖父の手伝いをしていた
「持ってきたよ」
何冊かの書物を腕に抱えて祖父の目の前に丁寧に下ろす
どれも古びており、表紙も劣化している
幾ら大切に保存されていると言え、紙にも寿命がある
それを聖衣の修復技術と同様に、ジャミールの技術によって修復するのが祖父の務めだった
祖父の手伝いとして傍に居たハクは、それを傍らで見守りつつ、別に持ってきていた本を手に取る
本に綴られていることは、聖闘士が仕えるべきアテナのことで、幼い頃に教えられたことが詳しく書かれているようなもの
何故、アテナは降臨しないのか
そう疑問を抱くようになったことで、ハクは好奇心もあり調べていた
冥闘士が目覚め出して、かなり時間が経っている
なのにアテナの姿は未だにない
なら、他の地に生誕してる可能性はないのだろうか?
けれど、ハクが求める答えが書かれている文書は見当たらなかった
何時しかその疑問は薄れていき、ハクの興味は昔のことについて向けられていった