LOST CANVASの章

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戦いの女神が聖域に在るようになって、三月程流れた頃にそれは訪れた

小宇宙を感じることに長けていたハクは、書物を読んでいた手を止める

長や友が居る場所から知らない気配がこちらに向かってきていたからだ

悪い気配でもなく、何より友が同伴している事実にハクは椅子から降り立つと入口へと歩いた


「―――私だ、ハク。今日は聖域から」

「本当にシオンだ」


扉の向こうから聞こえる声と気配にハクは躊躇うことなく開けるとその姿に破顔した

言い終える前に目の前の扉から顔を覗かしてきた姿にシオンは反対に呆れ顔を浮かべる


「不用心だろ。私でなかったら、どうするんだ」

「私がシオンの小宇宙を間違えるわけないよ。他人を偽れる冥闘士であっても、私だったら見抜く自信あるしね」


シオンに向かって話しかけるハクだったが、ちらりとシオンの後方に視線を移す

先ほど感じていた知らない気配の正体は、1人の男だった


一体何者だろうか?


そもそも、聖域に聖衣の修復に赴いているシオンが居ること自体不思議であった


ハクの視線が男と合うと、相手は柔和な笑みを浮かべ、口を開いた


「シオン。紹介してもらえるか?」

「すみません、シジフォス様」


友が口にした名前にハクは驚く

シジフォスと言えば、黄金聖闘士の一人と同じ名前だからだ


「こちらはシジフォス様だ」

「…射手座のシジフォス…」

「ちゃんと様を付けないと失礼だろ、ハク!」


突然の黄金聖闘士の来客に思わず敬語を忘れたハクに慌ててシオンが注意をする


「いや、構わない。それに普通に接してくれた方が嬉しい。シオンにも言っているだろ?」


笑顔がよく似合う人


それが第一印象だった



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