LOST CANVASの章

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ジャミールに来てから、シジフォスはハクの祖父と共に書物の調べ物に没頭していた

何を調べているのかはハクにはわからなかったが、射手座のシジフォス自ら調べているため聖域にとって重要なことなのは察せれた


「食事、持ってきたよ」


シジフォスが気を遣わすこともあり、祖父は毎日家に帰っていたが、シジフォスは書庫で寝泊まりしていた

備え付けの簡素なベッドと少ない食材は完備されているものの、毎日ハクが食事を届けに来ていた


「いつも悪いな、ハク」

「それなら一緒に家にくればいいのに」

「そうだな。だが、少しでも早く調べたいんだ。悪いが当分の間、ハクに食事を運んでもらうよ」


時間を重ねるごとにハクの口調は砕けていた

その方がもちろんハクにとって気楽であり、シジフォスもその方が嬉しいと喜んでいた


「まぁ、別にいいよ。私も書物読みたいし」


適当に一冊を手に取ったハクの行動は嘘ではなかった

けれど正直言えば、シジフォスが手に取っている古代の書に興味があった

もちろん、それを口にして頼むことはなかったが、いつもあの書物達にはどのようなことが記されているのか気になっている



それにシジフォスは一体何を調べているのかも―――



そして、最初はいつものように些細な好奇心で済んでいたものだったが、次第にそれは膨らんでいく



あの書物を読んでみたい


一体、何を調べているのだろう


自分は、何か手伝えないのだろうか



内なる要求が、偶然と重なった


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