LOST CANVASの章

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聖衣の修復を行っていたシオンは違和感を察した

やけに辺りが静かになっている


「…静かだと思えば…」


後ろを振り向くと、地面だということも気にせずに猫のように丸まって眠るハクの姿


「せっかく丸一日休みを貰っているのだから、部屋で休めばいいものを」


昔からハクは、外でもお構いなしに寝る性格である

それは何ら変わらないでいる事であり嬉しく思うが、シオンは複雑だった


「だいたい16歳にもなる女が暢気に外で寝るなど、非常識なのだぞ」


昔から外で遊んでいては、そのまま眠りこけてシオンが背負って帰る始末

別にそれに不満はなかった


「ジャミールのように人気がないならまだしも、ここは聖域で…大半が男なのに、お前は」


シオンは口を噤むと、世界は平穏と言うかのように眠り続けるハクの顔を眺める

小さい頃から見慣れているはずの寝顔は、シオンの心配など露知らずに吐息を立てていた


「…私だからいいものを…私以外の男だったら、どうなるかわからないのだぞ」


アテナに仕える者とは言え、人間の男

そんな場所で無防備に寝る幼馴染みに呆れにも似た物言いのシオン



「 だから、私以外の前で寝るな 」



紅い髪紐で結ばれた流れる髪に触れながら、囁く様に紡ぐ


夢を彷徨い続ける彼女には、きっと届かない



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