LOST CANVASの章

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幾千、幾万の輝く雄大な夜空

其処に点在する二つの星座の麓で一際光を放つ、それぞれの星


「時は満ちる、か」


最も空に近い場所と云われるスターヒルにて、教皇セージは数刻前の対話を思い返す





教皇の間に座すセージの前には、神官と女官を取り仕切る総主教の姿があった


「教皇様。アテナ様の神としての使命並びに力は未だに取り戻されておりません」

「ふむ。恐らく、人間として長く過ごされたからであろう」

「ならばこそ、使命と力を取り戻すために儀式を執り行うべきです。ですが、そのためには―――」

「…万が一に備え黄金聖闘士を、か。確かにシオンと童虎の実力は、まだ発展途上とは言え申し分ない実力よ。星見でも、あの二人が黄金聖闘士となる兆しは既に見えておる」





総主教に述べたように兄ハクレイの弟子であるシオンとその親友の童虎は、黄金聖闘士となるべき星の元にある


「マニゴルドが黄金聖闘士となった時を思い出すものよ」


あの時も蟹座の傍では弟子の星が輝いていた

それを嬉しく思ったが、辛くも感じた

アテナが降臨していると言うことは、天が聖戦に備え黄金聖闘士の称号を与えよと言っていることを示しているに等しかったからだ


「……若い者たちには生き延びてほしいものだ」


共に戦った今は亡き戦友達の姿を胸に想い、セージはその場を後にした




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