LOST CANVASの章
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普段は鍛練場の一部である場所
そこに粗末に置かれた丸太にハクとシオンは双子のように一緒に座り、ハクレイもほど近い場所に腰掛ける
近くに人気はなく、少し離れた方角から一族の声が風の音と混じって、届いては消えていく
先ほどまで数人の大人が燃やしていた焚き火にハクレイは、細かく裂かれた薪の山の一部を掴み、その中に投げ入れていた
「お前たちが小宇宙の修行を始めて2年近く経つのだな」
時が経つのは早いものだ
炎の明かりに照らされたハクレイの横顔
それが少し悲しげに見えたのは、気のせいだろうか
「二人は、何のために修行をしておる?」
ジャミールの一族は、聖衣の修復技術を守るためにも、強くならなければいけない
だが、ハクレイが問うているのは、自分達の意志だろう
それを理解したハクは、心中が渦巻く様に感じた
「俺は……強くなりたいから。いつか、聖衣修復者になって…ハクレイ様みたいになるのが俺の、夢だから!」
熱心に語るシオンの夢
その夢を前々から知っていたハクだったが、今一度聞いた時、心の渦がハクの思考まで侵してくる
少年の夢は、少女から見ると太陽のように眩しく思えた
「…私は」
それに比べて、私が修行している理由は何て
ちっぽけだろう
ハクの理由は、シオンのように素晴らしくなかった
私の理由、それは
「 シオンみたいな理由、まだないや 」
一族の皆に認めてもらいたかった