LOST CANVASの章

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話を聞くと、シジフォスは此処にある書物を拝見したいらしく、聖域に来ていたシオンに頼んでジャミールまで赴いたという経緯だった

「おじいちゃんが今居ないですけど、どうぞ」

生憎、ハクの祖父であり此処の管理者は不在だったがとりあえず中で待たせることにした

シジフォスは少女の後に続く様に開いてくれた扉の向こうへと足を踏み入れた

中に入ると本棚にずらりと敷き詰められた書物がシジフォスを迎え、その景色に彼は圧倒された


「これはすごいな」

「この部屋のだったら、好きに見ていいですよ」


その言葉で一つ書物を手に取る姿を見た後でハクは後ろを振り返った


「シオンも入りなよ」

「いや、私は聖域に帰ろうと思う。一つでも多くの聖衣を修復しておきたいのだ」


シオンの瞳は、あれ以来強い意志を宿すようになった

それはいいことであり、ハクは残念がることなく微笑む


「あんま無茶したら、駄目だよ?」

「わかっている」


少しだけ垣間見せる年上らしい彼女の表情にシオンは少し視線を下に向けて返事を返した

その後、シジフォスにも挨拶を交わしたシオンは、二人に見送られながらその場所より聖域へと向かった



光となって消える間際にあの傷跡が目に飛び込んだ




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