LOST CANVASの章

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「私が側に居られない時は、オネイロスを頼るといい」


ヒュプノスが残した言葉が消え、部屋に残されたのはハクとあの時と同様に跪いて表情を窺わせない男だけ

静寂の中で彼の身なりを眺めた後、ハクは寝台の縁まで動いた


「貴方も、神なの?」

「はい。私は、夢の神でございます」

「夢の、神…」

「ヒュプノス様直属の配下に当たります」


眠りの神に従う神の存在を知り、冥界側には多くの神が付いていることを知らされたというのにハクの心は動揺を示さなかった

それは、自分が聖域と縁が切れているためか、それが当然だと知っているためだったのか、理由はわからなかった


「顔を上げてくれる?」


未だに面を伏せた神に頼めば、一時置いた後、オネイロスの端正な顔が目に飛び込む


「オネイロス様は、」

「様はいりません。オネイロスと呼んでください」

「いいの?」

「そうして欲しいのです」


神直々の申し出にハクは目を丸くした

だが、既に敬語を使わずに居る時点で不躾だという自覚があるのに、ハクはそうすることが当然だとも感じていた


「それじゃ、オネイロス。嫌じゃないの?人間一人のために動くなんて…」

「嫌なことなどありません。相手が貴方なのですから」


冷たさを持つオネイロスの瞳が、微かに温かさを宿し、微笑んだようにハクには見えた




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