LOST CANVASの章
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「いいのか?」
ハクが口にした言葉の意味を知ったヒュプノスの唇が動く
「私の居場所は、此処だから」
幼さの残る姿に、転生前の姿が宿る幻が見え、ヒュプノスはハクの体をやんわりと引き寄せる
「そうか…」
ハクの覚悟を感じ取り、頬に触れた手を滑らせて支えるように後頭に手を入れる
背後からの力を拒むこともなく、ハクは身を捧げるように顔を近づけた
それに合わせてヒュプノスも顔を寄せると、鼻先が触れあう
間近で見つめられ、ハクが白い頬を染めていく
「 ハク 」
名を呼ばれると、唇に柔らかいものが優しく触れた
「柔らかいな」
いつもとは違う熱を宿らせていく瞳と、掛る吐息にハクは恥辱で彼の名を口にしようとしたが、再び降って来た相手の口付けに阻止される
「…ん……ふぁ…」
熱い息を交え、何度も唇が触れあい、時には唇を舐められ、気づけば背中にシーツで覆われたベッドの感触が当たった
不慣れなハクを脅えさせないように続いていた行為は、次第に深さを増し、ヒュプノスの舌が唇を割り、歯列をなぞる
それに、もどかしい感覚が込み上げて来て、ハクは促されるままに閉じていた口内に侵入を許す
「はぁ…っ……ヒュプ、ノス…」
朧げになってしまいそうな思考で捉えたのは、妖し気な光を湛え、瞳を細める彼だった
「…ハク」
離れた唇で互いの名を呼び合うと、次には舌を絡め取られる
ぞくり、と背筋に奔る電流にハクの神経は麻痺していく
そして、相手の唾液が自身のと混じり合うのに伴って、熱い空気が流れ込んでくる
ヒュプノスの小宇宙が内側から体を熱くさせ、刺激を与え、奥底から衝撃が這い上がってくる
タナトスによって何度も味わった感覚とは比べ物にならないそれに、ハクは畏れることなく、身を委ねることにした