王女と騎士様
□第1章 動き始めた運命
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パーティ会場から自室へ戻った途端、一気に疲労に襲われる。
自分の体とは思えないような重たい感覚。
ズレたコルセットは胃を圧迫していた。
リースの手によって、華やかな呪縛が解かれていく。
あんなに時間の掛かった魔法はあっけないくらいあっという間に消えた。
「はぁー。無駄に長かったね。やっと解放されたよぉ」
エリナは疲れた顔で深い呼吸をした。
肩を上下に動かし、硬くなった筋肉を解す。
「終始、笑顔を絶やさずに気を張っていましたからね。お疲れ様です」
リースは穏やかな声で言った。
「そうやって褒めてくれるのリースだけだよ」
エリナはリースの体をぎゅっと抱きしめた。
150センチにも満たない小柄なリースはエリナの華奢な体でも簡単に覆えた。
リースの頬がみるみるうちに赤く染まっていく。
彼女のあどけない顔立ちが照れた顔をさらに可愛らしくさせる。
「リース。かわいい」
「か、かわいくないですよ。エリ様の方が……かわいいです」
リースは真っ赤に染まった顔で素早く首を横へ振った。
年が二つしか変わらないのもあり、使用人のリースは何でも話せる友だちのような存在だった。