王女と騎士様
□第3章 仕組れた罠
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1 謀反(むほん)
女王陛下の死から一週間――。
未だその犯人は見つからず、エリナは軟禁生活を強いられていた。
ライド国王の許可を得なければ自室から出ることすら許されない。
息の詰まるような毎日――。
「エリ様……気分転換にどこか出掛けますか?」
リースの言葉にエリナは本を読んでいた手を休め、ぱぁーっと表情を明るくさせる。
「えっ?外出できるの?」
「城内でしたら、何とかなりますよ」
「やったぁ」
感極まってエリナはリースの両腕を掴んで勢いよく上下に揺する。
その様子にリースは口元を緩めた。
「すいません」リースは目的の場所に着くなり、頭を下げた。
「どうして謝るの?」
エリナは小首を傾げる。
「せっかく外出できた場所が医務室だなんて……」
「私、医務室好きだよ」
軽快な口調で答え、ドアに手を伸ばす。
一歩足を踏み入れた瞬間、体温が少し下がったような錯覚を起こす。
色付くことを恐れるように白と銀しか存在しない空間――。
几帳面に置かれた医療機器。
殺風景で閑散とした室内からは妙な緊張感が漂う。
「……お化けでも出そうね」
居心地の悪さにリースが顔を引きつらせると、すぐ横にいるアールが毒づいた。
「お化けは得意分野だろ?」
リースは黙ってアールを睨みつける。