王女と騎士様
□第5章 始動
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「ん?小さいじゃん。まさか……自覚なし?」
悪びれる様子もないレインの態度に、エリナは心の中で悲鳴を上げた。
アールも額に手をあて、完全に地雷踏んだなとレインから目を逸らす。
体をわなわなと震わせるリースから、予想通りの反応が返ってくる。
「んなわけないでしょ?自覚してるわよっ!」
「なーんだ。自覚してんだ」
レインは退屈そうな声を出して、歩き始める。
その後ろ姿へ不機嫌になったリースが声を掛ける。
「そーいう自分は、小さいこと気にしてないわけ?」
一瞬、肩をビクっと反応させてから、レインが振り向く。
心なしか顔が引きつって見える。
「小さい?誰のこと言ってんだよ?」
「誰って……レイン以外いないでしょ?」
「オレのどこか小さいんだよ?……そんな変わんないじゃん」
レインはさっとアールの隣に並び、身長差をアピールする。
二人の身長差は5センチといったところ。
「お前何センチ?」
「えっ?……180くらいかな?」
曖昧に答えるアールを無視して、レインはリースへどや顔を向けた。
だが、リースはふーんと小刻みに頷き、勝ち誇った表情を浮かべている。