王女と騎士様
□第5章 始動
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「そのブーツには、どれくらい細工してあるのかしら?」
リースはレインのブーツへ視線を向けながら、わざとらしく言った。
指摘を受け、レインの視線が即座に下へ移動する。
「シークレットブーツでしょ?あたしも履いたことあるから、知ってるわよ」
言われてみると、レインのブーツは底が異常に分厚い。
「うるさいなっ。……いいだろ。ちょっとくらい……」
開き直ったような態度で、ぶつぶつと呟くレイン。
エリナは底上げされたブーツを指差し、興味本位で質問を投げる。
「ねぇねぇ。これって、どれくらい身長高くなるの?」
「お前……さりげなーく、デリカシー無いな」
「レインにだけは、言われたくないよぉ」
負けじと言い返すと、珍しく自虐的な言葉が聞かれる。
「……もっともかもな」
小さく呟いた後、レインは嫌々口にする。
「3センチだよ」
「3センチ?」
どう見ても、3センチの厚底では済まない。
エリナが猜疑の目を向けると、観念したようにレインが真実を明かす。
「……7センチだよ」
「歩きづらくないの?」
「慣れれば、どうってことないよ」
胸を張り、少し誇らしげに話され、エリナは底上げされたブーツをじーっと眺める。
「お前は絶対マネすんなよ」
「なんで?」
「十分デカイだろ?」
デカイ発言にエリナは表情を歪める。
レインはやはりデリカシーに欠ける男。