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□頼りなる彼女
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「そんじゃー、ユウの家で3時から勉強会ね! うん、解散!」
「えっ、ちょ里奈! えっ、ユウは良いの!?」
「・・・・いい、」
「オッケー!? おっけぇ!!」

「ユウからオッケー貰った! んじゃ私一旦家に帰るね!
 ちゃんとお菓子持ってくから! 3人ともまた後でねー!」


アッサリと約束を取り決めて、手を大きく振って去っていく里奈を見送る。

まるで嵐のように去っていく里奈の背を眺めながら、
取り残された私と麗那とユウ。


「どーしよっか」
「どうもこうも・・私らも一旦帰るしか」
「美紀、里奈と家近いはずなのにフッツーに置いてかれたね」
「ほんとだよ」

「・・・・」
「夕利、私らも一旦帰ろっか」
「・・ん」
「麗奈、ユウ、また後でねー」







っていうのは、ちょうど1時間半前の出来事。

勉強会しない? って言い出したのは麗那だったんだけど
日時と場所指定どうする? ってなった途端、里奈がアッサリ決めちゃったの。

そのまま決定になったんだけど。

この4人の中で、学校からはユウの家が一番近くて
逆に学校から一番遠い場所に住んでるのは麗那。

私と里奈は、家は近い方。
徒歩5分くらいの場所に、里奈の家あるし


「とっいうことで! さっ、美紀行こ! 夕利お嬢様のお屋敷へ!」
『いやいやいや、ユウの家 普通の家だし』


家に帰って荷物まとめてたらチャイム鳴って、
そのままユウの家に行くことになった。

・・にしても・・、


『里奈・・その自転車のかご もしかして、それ』
「流石美紀、察しいい! これ、下校の時に言ってたお菓子!
 家に余ってたの、とりあえず袋に入るだけ持ってきた!」


袋の先をくくっていないと、自転車のかごから
零れ落ちそうなお菓子の数々。
・・・あ、板チョコが見える

自転車をこぎだしながら、袋の中にあるお菓子を眺める


『つか家にどんだけお菓子余ってたの、これ』
「うーん、両親共に甘党でさ。 食べきれないのに次から次へと買ってくるんだよねー」
『そういや前、里奈の家行った時、お母さんから飴入った袋貰ったよ?』
「やっぱり? 近くにお菓子があるだけで幸せなんだって」


へー・・、 里奈の一家は皆甘党なんだ
初めて聞いたかも。

のわりに家族全員、太ってないんだよね
普通にスタイルいいしさ

あ、この間里奈の家に遊びに行った時はミルクティーとショートケーキ ご馳走になった。


「? あれ・・」
『? 里奈、どうかした?』

「何か今、白い羽が見えたような気がしたんだ」
『え? 気のせいじゃない? 見間違いとか』
「それか鳥の羽かなぁ」


白い羽・・? と思いつつ、空を見上げてみ・・・、

えっ、っちょ


『げほっ、ごほ、! っうえ』
「え、美紀!? どうしたの、大丈夫!?」

『! いや、なんでもない! ごめん、
 筆記用具忘れたっぽいし、先にユウの家行ってて!』
「あ、んじゃ私も一緒に行こうか?」
『い、いや! いいよ、私後で追いかけるし』


首を少しかしげて、悩んだ里奈

ぅ、私って嘘つくの下手なのかな。
いや、でもこれはちょっと・・


「おっけ、先に行ってるね。 早く来ないと
 お菓子みーんな食べちゃうよ!」
『その量、3人で食べきる気なの!?
 そんなに遅れないから大丈夫だってばっ 後でね』
「んじゃ、ユウの家でねー!」


手を大きく振って、自転車で先に進む里奈
少し先の角を曲がった里奈を見て、1つ ため息をついた

事情を知らない友達だから、仕方ないのかな。
仕方ないんだよね、

改めて上を見上げ、空に向かって言うように。


『ルゥ! そこで何やってるの?』
「・・ぁ、」


電柱に突っ立っていた知人。

言ったとおり、天使のルゥ
・・もしかして、瞑想中だった?

少し苦笑すると、ルゥも私に気づいたらしく電柱からふわりと降り立った


「こんにちは、美紀様」
『ルゥ、こんにちは ・・・どうしたの? 何か邪魔した?』
「ちょっと祈ってただけですよ」


・・・・電柱の上で? お祈りタイム?
考え事・・なんかな、 やっぱ邪魔したのかも。

話題振るのも慣れてないし、思わず呼びかけたけどどうしよう。
かく、と首を傾ける。


「? 何か言いたそうですね」
『いや・・、これといったことじゃないんだけどね』


・・・やっぱ、ルゥ側でも いろいろあるんだよね?

そう思った言葉を、飲み込む。
口には出せなかった。

今の私に何ができる?

私はまだ、状況把握して ルゥ達の力になれるため
近づかなきゃいけないのに。


「・・・美紀様、そんな悲しい顔しないでください」
『っえ、あ・・・ごめん、 そんなつもりは・・』
「・・くす、分かってますよ。 深く考えなくてもいいんです」


少し背の高いルゥに向かい、顔を上げる

今一番忙しいのは、私じゃなくてネルやミラー、ルゥ達の方だろうに


「確かにあちこちで、ちょっと慌しくしてますが
 一通りのことは問題なく動いてる、と知人も言ってます」
『知人・・・?』
「私が頼りにしている人ですよ。 天使ではありませんが。
 いつも非常事態には『彼』に頼んでいます」


本当に頼りになるんですよ。 って笑うルゥ、

なんていうか、こーいう包容力・・?
安心感ある言葉? っていうのかな

流石天使・・っていうか、
この人の存在に、助けられた人は一体何人居るんだろう





頼りなる彼女



(ルゥはきっと、何があっても負けないよ)





 

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