創作世界

□メルドの夏休み
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メルドの夏休み 7



「ふーむ、今から短時間でできそうな依頼・・・」
「あ、ありそう、ですか・・?」
「・・・これ、かな。 どうだろう?」

「・・孤児へのパンの配達?」


鐘の街カンパーナに到着し、支部への到着報告を終え、
宿に荷物を置いたり、休憩等で大体1時間弱が経過した頃。

旅団支部の受付カウンターにメルドの姿があった。

夏でまだ明るいとはいえ時刻は夕方5時、陽は傾きかけつつあった。


「そう。 普段は大体固定の人に頼んでいるんだけどさ、
 『する人が居ないから魔物退治のついでに』で受けてく人が多くて、
 あんまり取り合いされるような依頼でもないんだよね」

「ほ、ほう・・・」
「正直もう夕方だから時間は気になるけど・・メーゼ様も居ることだし、」


受付である男性はメルドに依頼のことを話しながら、
1階に設置された椅子に脚を組み座っているメーゼの姿を見つめた。

彼女の目線は手元の操作しているタブレットへと。

目線に勘付いたのか、彼女は小さく受付カウンターの方へと視線を上げた。


「・・大事にはならないだろうし、場所もそんな遠くないからと思って」
「えっと、と、届ける場所って・・?」
「あ、知らないかな。 ここよりももう少し北の方にさ
 ラヴァリーっていう街が・・あった、んだけど」
「・・・あった?」

「うん、近年になって廃れちゃってね。 今はほとんど無人なんだけど、
 生き残って引き取り手の居ない孤児達がそこにまだ住んでるんだ」
「え、 大人は、居ない んですか」
「居ないみたいだね。 孤児が8人くらいで住んでいるようだよ」

「・・あの、それ あ、その依頼、俺受けてもいいですか?」


・・・・


「で、受けたんだ」
「はい、あの、 受けた時、割りと何も考えてなかったんですけど」
「うん」

「受付さんが勧めてくれたものだからハズレないかなって
 できるものはやっておこうかなと、思ったら、はい」
「別に良いと思うわ。 ・・これはどこに向かってるの?」
「この街のパン屋さんです」
「へぇ、パン屋」

「えっと、依頼主がそこの人で、売れ残りのパンを引き取ってから、
 ラヴァリーに向かうって形らしくて」
「うん、成程ね」
「あっ、え、衛生面は大丈夫だって受付の人が言ってました・・!?」
「ふ、 うん、分かってる」







カンパーナの街でパン屋を経営する中年の女性と出会う。
見慣れない人物だったのか、彼女の表情はちょっと驚いたようだった。

風呂敷に包まれた沢山のパンをメルドに受け渡すと、
女性は「それじゃよろしくね!」と大らかな笑顔を見せ、2人を見送った。


「・・街が廃れるって・・・」
「メルドは自宅西方?」
「あ、いや 俺出身大陸ここじゃなくて」

「あぁ、そっか。 まぁ貴方が幼い時に起きたことだし、
 大陸外なら知らないのも無理ないかもしれないわね」


鐘の街カンパーナから、廃退した街ラヴァリーへと。
陽が傾き、伸びた影を視界に入れながら街へと続く街道を歩く。


「災害だった、とかですか?」
「そうね。 ラヴァリーって言うと、この大陸の最北端の街なわけだけど」
「はい」
「大陸の一番北に存在するのは山なの」

「・・・? ・・山の中に街があるってこと・・?」
「点と点と重ねないで。 山の麓だったの」
「あっ、あぁ そっちか」

「街を囲う塀から1分歩けば山登りが開始できる、それくらい山に近い街で、
 それでいて活気もあった。 人が集まる場所ではあったのよね」
「はい」
「そしてある日、記録的な大雨と共に山崩れが起きる」

「・・・あっ!? あの山崩れが起きた街!?」
「あら、知ってた?」
「ニュースで聞いた気がします、小さい時・・・
 あれラヴァリーのことだったんだ、」

「そう。 被害に遭ったのはラヴァリーの北半分だけど、
 運が悪いことにそこが一番人が集まる場所でね」
「・・それで、」

「それだけならまだよかったけど、その災害で街を仕切る長までもが死んだ。
 処理もできずに、指示も煽れずに、更にまだ崩れるかと不安に思った人々は
 ラヴァリーから逃げるように避難した」
「・・・そんで、今は無人に・・」

「そうね。 まぁ孤児ほったらかしっていうのはどうかと思うけど
 ・・・話してたら見えてきたわね」


メーゼの声に、メルドが顔を上げてその街を見つめる。

オレンジの夕日に差し込まれた、暗い灰色の街。

彼女の話の中にあった山崩れは当時のままのようで、多少遠目からでも、
崩れた山と、街を襲った災害の惨状が残っていることが分かる。

廃退した街、ラヴァリー




凄い手抜き感やばくて修正入れるかもしれない宣言

メルド・ラボラトーレ
  真面目に書く内容が思い浮かばない。
  多分ラヴァリーの災害が起きた時、9歳くらいだったかもしれない

メーゼ・グアルティエ
  ラヴァリー事件あった時は既に物心つきまくってる年だっていうね
  彼女が高校生の時、だったかもしれない

鐘の街 カンパーナ
  街を囲うように10何箇所かの展望台と、それぞれに鐘がついてる。
  夕方7時を回ると、展望台には登れるものの鐘は鳴らせない状態になる

廃退した街 ラヴァリー
  西方大陸最北端の街にして、山崩れにより廃退した街。
  カンパーナから徒歩10分か20分かそこら。
  災害起きたのは10年前だと昔すぎるし、
  3年前だと最近すぎるなと思って、間取って7年が現状候補。 変動有り





 
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