創作世界

□赤散りし、白き一閃
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スイリ・ミゼルと言えば一時期世界を騒がしたほどの人物だ。

彼に収集できない物は無いと言われるほどの実力を持った
世界一と噂されるほどの若き情報屋。

今でこそ、世界を騒がすほどの噂は立っていないが
彼の情報は今この瞬間も増えている。

彼が行動する度に情報は自然と集まり、
それを驚くべき速さで吸収しているのだ。 末恐ろしい男である。

その反面、情報屋という職業は恨まれやすいとも言える。
事実、彼が命を狙われるのは今に始まった話ではない。

が、彼はその幾多の襲撃を1人で難なく撃退している。
彼は単純に強かった。

だって彼はあのサファリ旅団に、「情報量」を差し引いたとしても
十二使として選ばれるほどの実力を持っているのだ。


彼が武器を両手に持って数分。

大の男3人が意識を失った状態で床に突っ伏しており、
スイリは平然とした表情で其処に立っていた。

男達は何箇所が傷口があるようで、いくつか深い傷口も伺えるが
どれも致命傷と呼ぶほどではない。

まともな手当さえすれば今後の支障は全く出ないだろう。

その相手をしたスイリはと言うと、傷1つ負わずに武器をしまっていた。
まるで部屋掃除が終わったかのようなけろっとした表情だ。

武器をしまった彼は、蹲ったまま動けないユラの元へと近付く。


「スイリ・・・なんで、わか、」
「系列感知が起きたんだよ。 僕とユラの武器って『対』でしょ」


武器にもいくつか種類がある。

ユラとスイリの使う武器は「魔武器」というカテゴリに分類されるが、
魔武器と呼ばれるものには、似た武器が存在する。

それは2本であったり、複数本だったり定まりはしていない。
似た武器とだけでは一概に絞り込めない。

ただ今回に至っては正しく「黒と白の剣」がそれである。

似た武器、同系列の武器では系列感知という概念が存在する。

同系列の武器を使った際、他の同系列武器に「感覚」として
武器が使用されていることが分かる、というものだ。

あまり距離が離れすぎていては感知されなかったり、
感覚が気の所為レベルまで下がることもあるのだが。


「この空間で武器を抜くって、ありえないに等しいから
 だから可笑しいと思って、 来た道戻ってしらみ潰しに探してた」
「・・・・」

「歩ける?」
「・・・っ、ちょっと 無理・・」
「・・まぁ浅いとは言えないよね。 よく保ったね」


スイリは眉を下げ、ユラに身体に向けて左手を掲げた。
真っ白な床に、同化せんとばかりの白い魔術陣が広がる。

魔術陣から白い光が浮かび上がり、ユラの傷口を塞ぐように埋めていく。


「僕、特化属性が聖で良かったって痛感してる」
「・・私もです・・面目ない、」
「・・・どうしたの、大人しいね」
「黙ってて・・」


ごめん、と笑いながら口にし、ユラに回復魔術を掛けるスイリ。

数分ほど回復魔術を掛け、一区切り付く。


「・・・うん、まぁ大体治ったかな」
「どうも、」
「ただ回復魔術って完治させるための技じゃないからもう少しだけ安静ね」
「・・安静と言われても」


スイリの注意に、ユラは空間内に存在する男3人の姿を眺める。
男達は起きる気配が一切なく、微動だにすらしない。

回復掛けているこの数分の間に起きなかったのも不思議なくらいだ。


「まぁ強く打ち込んでるから早々起きないよ。
 後ろから追いつかれても困るしね」
「はあ・・」
「かと言いこの場に居っぱなしもまずいから・・っと」


スイリは立ち上がって、壁の裏に置かれていたユラの鞄を取ってくると、
その鞄を床に座ったままのユラの腹に抱えさせた。

疑問符を浮かべるユラ。

スイリは再度ユラの傍にしゃがむと、右手をユラの右肩に、
左手はユラの膝を曲げさせるように動かした。

持ち運ばれる気配を察したのか、ユラが制止のジェスチャーを行う。


「はっ、ちょ スイリ、そこまでしなくても」
「捕まらなくていいから動かないでね」
「ま う、わっ」


聞く様子の無い彼はユラの膝裏に腕を回し、彼女を軽々と持ち上げた。
ユラは腹に抱えさせられた鞄を抱きしめる。

珍しく括られていない長く赤い髪はいつもより目立つ。


「安静にと言った傍から歩かせるほど鬼じゃないよ?」
「・・そのようで・・・ ていうか・・」
「ん?」

「スイリって意外と力あるのね・・見た目に反して」
「・・あのねぇ・・戦闘だって力有りきだよ?」
「いや、細腕だし」
「あのね、一応女の子よりはあるからね?」





赤散りし、白き一閃



(女の私から見てもって話じゃん・・)
(流石にちょっと解せないなぁ・・強く否定はできないんだけど)
((あ、自覚はあるんだ))

(髪、解けたままだね。 ヘアゴムの代わりある?)
(一応鞄の中に予備は入れてる)
(そっか、ならいいんだ)






思ったより長くなってしまった・・次作イツカナー

ユラ・レクイン
  最初期設定といろいろ設定が変わったので、
  設定が変わった分だけ弱体化した。 高卒直後にしては強いかなーレベル
  本来はこういう反応で、こういう結果で、結局彼女が並なんだよ。

スイリ・ミゼル
  そんでまぁコイツが強くなったんだよ最初期設定と比べると!()
  彼が強くなったことに、今作で書いた以外の理由も存在する。
  この辺は後々公開できたらいいな。





 
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