創作世界

□特戦科大学生の自由時間
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南方大陸に存在するクレールド大学。

高校を卒業した者達が延長で勉強を学ぶ場所であり、
高校時よりも一段と強く、と願う者が望んで通う
優秀な特戦学科が存在する大学でもある。

レンガ積みの建物、遠目からでもその敷地は広く、
初めて敷地に入った者は高確率で迷う。

設備も充分整っており、「授業は無いがとりあえず居る」という学生も多い。

・・・バルコニーに佇んで手すりに腕を組んで頬杖を付き、
特戦科生徒専用の訓練場を眺めている彼女は、その筆頭じゃないだろうか。

赤みがかった黒い髪、解いたら鎖骨下までありそうな髪を
左耳の付近で括り、サイドテールにしている女性。

背は女性にしては高く、175くらいはあるだろうか。

髪色よりも多少淡い色をした瞳、その視線は訓練場に向けられたまま
ぼんやりとそこを眺めている様子だ。

彼女の背後にはパラソル付き木製テーブルが1つと周りに木製の椅子が4つ。
扉である透明のガラス戸越しに、建物へと続く廊下が真っ直ぐ伸びている。

そのガラス戸越しに人影。
扉がカラリ、と音を立てて開けられると、彼女は頬杖をやめ振り返った。


「ん」
「珍しいところで会うな・・」
「おー、クロウやん」


陽気を笑みを見せた彼女は、バルコニーに入っていた男性へ手をひらひらと。
対してクロウと呼ばれた彼は扉を閉め、短く手を上げた。

ダークブロンドの髪をした男性の耳にシルバーのリングピアス。

服は学内だからかある程度軽装で、肩にはあまり荷物の入って無さそうな鞄、
左手には本が一冊と、腰に巻かれたベルトとそこに挿してある1本の剣。

クロウはバルコニーに設置されたテーブルを一目視界に収めた後、
サイドテールの女性へと再度見やる。


「読書しに来たん?」
「そうだな。 アキの邪魔じゃないようなら」
「あー、全然構わんよ。 あたしぼんやりしよっただけやし」

「・・考え事か?」
「んや、なんも考えとらん」
「・・・まぁお前らしい回答で何よりさ」


少し口元に笑みを浮かべた後の返答。

クロウはパラソルの日陰になる席を選び、椅子を引いて腰を下ろした。
肩に掛けていた鞄を机の上に置くと、持っていた本を開くクロウ。

アキと呼ばれた女性はその様子を眺めながら、
バルコニーの手すりへ背を向けて肘を付き、呆れたように小さく息を吐いた。


「あんなぁ、どんな奴に見られとんのか知らんけど
 流石にあたしでも悩む日くらいはあるで?」
「知ってる」
「・・・」

「だから今日は普段通りなのだと安心した」
「・・左様で」


想定してなかった返答だったのか、アキは何ともいえない表情を
一瞬浮かべた後、呆れたように小さく息を吐いた。

唇を少々歪ませ、眉を寄せたばかりの彼女はクロウを再度視界に収めると
凭れていたバルコニーの手すりから離れ、彼の反対側の椅子を引いた。

その様子を見つめていたクロウはふ、と口元に笑みを浮かべる。


「瞑想はもういいのか」
「・・今意地悪言っとる自覚あるやろ?」
「ある」


本を片手に、クツクツと口元に笑みを浮かべるクロウ。
その様子を見て更にアキは呆れたように息を吐いた。

まぁ知ってはいたが、こういう奴だ。


「読書中やけど話しかけてええ?」
「構わない」
「この間の実技、クロウ近接1位やったけどさ、短剣は得意?」
「不得手では無いと思うが」

「銃は?」
「一定以上は撃てるな。 魔術のコントロール補助で使うから」
「えっ、アンタそんな魔術コントロール苦手やったっけ!?」
「上手い方ではあるらしいが・・そこまで繊細ではないな」

「え、銃スコアは?」
「拳銃部門でアルファ960、ベータ910だったと思う」
「ほぼフルスコアみたいなもんやん・・・」
「・・思ったより喋るな」


クロウは顔を上げ、小さく笑みを浮かべると読んでいた本をパタンと閉じる。
彼女は「あっちゃー」とでも言わんばかりの表情をし、口元を抑えて。


「や、すまん・・・・悪気は無かった・・」
「知ってる。 こっちもお前に聞きたいことがあったのを思い出した」
「?」

「学部どこか聞いたこと無いなと」
「あたし? 法学部」


脈絡も無しに聞いた問いへの返答。
クロウは少しばかり瞬きを繰り返すと復唱するように「法学部」と呟いた。


「意外?」
「意外。 特戦科優先の生徒が多い中、
 お前は部の方もまともに勉強してる印象が強い」

「クロウも勉強しよるやん、歴史学」
「俺のはほぼほぼ趣味だが」
「あー、成程な? だからか、歴史学の先生嘆きよったん」


クツクツと堪えきれていない笑みを浮かべるアキを眺めて数秒。


「何故法学?」
「んー? そんな大した理由やないけど・・・」


そう呟いた彼女は、唇を緩めて口角を釣り上げた後
口元に指をさして、意地悪そうに笑みを浮かべた。


「喧嘩すんなら口うまーないとな?」





特戦科大学生の自由時間



(ふ、成程。 言いくるめるのか)
(ん。 まぁその後逆上された時に抑えれる実力も勿論必要やけどさ
 言い負かすくらいには達者な口欲しいわぁ)
(そう言われると俺も少々気になるな。 多少は齧ろうか)
(アンタは頭良いし、多少でも知っとったら絶対武器になるわ)

(分からなかったら聞いてもいいか?)
(ん、ええよ。 ・・あ! 代わりにとは言わんけど、銃コツ教えて!
 できれば左手撃ちの! あたしナイフと銃両方持ちたいんやけどさー)
(・・左手撃ちの? 俺は銃専門ではないぞ・・)
(知っとる! その上で聞きたい!)






アキ、参戦。 大学時代

アキ・カシュナータ
  元々はクトゥルフPCだった。 日本人名、小鳥遊秋恵。
  関西弁で陽気で、ギャグもできるわシリアスも適応できるわの万能。
  関西弁だけどこの世界に「関西」という概念は無いので別の呼称考えてる
  あまり詳細決まってない東方のトリメス国の出身。

クロウカシス・アーグルム
  アキと同学年、クレールド大学特戦科歴史学部。
  特戦科、近接部門と氷魔術部門はトップクラス。
  戦略幅を広げるために、と専門外の短剣や銃を
  大学で真剣に習い始めたが何れも成績は優秀な方。





 

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