めぐいせ

□物語の始まりは
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「聖華ー、勉強疲れたよー」

聖華と呼ばれた腰まである長い髪の少女は、時計を見て言った。

「まだ勉強を始めて30分しか経ってないですよ。あと図書館なので静かに喋ってください」
「だって疲れたんだもん・・・」

声の音量を下げて駄々をこねているのは、由香。
聖華と由香は図書館に来て学校の宿題をやっているようだ。
高校生の2人は、リボンのついたブレザーの制服を着ている。
学校帰りなのだろう。

「ねー、別の所行こうよ。もう十分勉強したじゃん」

由香は駄々をこねつづける。
頭を左右に軽く揺らしながら喋っているので、由香の短い黒髪のポニーテールも軽く揺れている。
聖華の黄土色が混ざった黒色の瞳がだらけてる由香を移す。
聖華はまじめに勉強し続けているが由香の駄々に少し疲れ気味の様だ。
聖華は小さな溜め息をはき、シャーペンを置いた。

「じゃあ、せっかく図書館なので読書でもしますか?」
「うーん・・・まあ勉強よりはましかな」

由香は立ち上がり、それに続いて聖華も立ち上がる。

「あれ、聖華も来るの? 勉強してていいのに」
「あなたが何をしでかすか分からないから、監視役として付いていきます」
「酷い」

2人は小声で喋りながら、大きな本棚を見て回る。
なかなか大きな図書館なので本の数も多い。
由香は小説を手にとっては、パラパラとめくり、棚に戻す。その繰り返しばかりしている。

「良い本が決まらないんですか?」
「文字ばっかで面白くない本ばっかりなんだもん」
「そんな事言ってたら、一生読む本決まらないですよ・・・」

聖華は呆れながらどんどん進む由香についていった。
由香の本が決まらないまま、とうとう図書館の端の本棚まで来た。
でも本は決まらない。

「むぅ・・・このままじゃ勉強するはめになる。それは避けたい」

由香はそう呟きながら頭を抱え、本を探し続けている。
聖華はそんな由香を横目に見ながら本を見ていると何かを見つけた。
本棚の下に落ちている、1冊の本。真っ黒で題名が書いてない。
聖華は小説かなと思いながらその本を拾い上げた。

「本棚から落ちたんでしょうか・・・?」

でも本棚にこの本が入るような隙間は無い。
聖華が本をじろじろと見ていると由香が聞いてきた。

「何? その本、面白いの?」
「いえ、床に落ちてたんです。それに題名も無いみたいなんですよね」

由香もその本を見てみる。本当に題名は無いようだ。
すると、由香は何かここ書いてあるよと言いながら表紙の右下を指差した。
そこには黄色いインクで「Reue」と書かれてた。

「『ロイエ』でしょうか」
「これが題名なのかな、けどどういう意味?」
「さあ・・・何でしょう」

疑問は色々生まれるばかり、でもその疑問の答えは分からない。
聖華が本を開こうとしたその時、本が光った。

「「えっ!?」」

あまりの眩しさに2人は目を瞑る。そして2人は、意識を手放した。





*登場人物*

聖華:図書館で黒い本を見つけた。由香とはなんでも言える友達。
   茶髪の腰まである長い髪。黄色の混じった黒い目。穏やかな性格で、礼儀正しい。

由香:聖華の友達。
   短めの黒髪をポニーテールにしてる。黒い目。落ち着きがない、元気。





 

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