めぐいせ

□眠りに落ちて
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ライは家で、さっき出した武器を箱に片付けていた。
そして、ナイフと緑色の矢筒を聖華に見せる。

「これも君にあげるよ。弓を使うなら矢筒は必須だし、それに接近戦用になった時ようのナイフも。弓は隙が出来やすいからね」
「は、はい。ありがたく使わせて頂きます」
「あと・・・」

ライはナイフと矢筒を机に置き、腰につけてた袋から銀貨を1枚出す。
その銅貨を聖華の手に持たせ言った。

「もう夕方だしこの家の左に2件隣の大きな建物が宿屋だから、今日はそこにこの銀貨で泊まったらいいよ。荷物はこの家に置いていっていいし、ご飯も宿屋で出るから。明日の朝、迎えに行くから今日はゆっくり休んでね」
「はい・・・」

聖華は持たされた銀貨を握り締める。
冷たかった銀貨が聖華の手の熱により少しずつ温かくなる。
また片付けに戻るライの背中に向けて、聖華は声を振り絞り言った。

「あの! 今日は何から何まで本当にありがとうございました! 森の中で助けてもらったり、色々説明してくれたり、武器をくれたり、この銀貨だって・・・本当に助かりました。このご恩、絶対に返しますから!」
「・・・ううん、こちらこそなんかありがとね。これから長い旅になると思うけど改めてよろしく」
「はい。 じゃあ・・・宿屋に行ってきますね」
「うん、いってらっしゃい」

聖華は持っていた弓を、矢筒とナイフが乗った机の上に置き外に出て行った。

聖華は、家に出るとすぐに宿屋の方に向かっていた。
お礼を言うのに少し緊張して、心臓の鼓動がいつもより早い。
聖華は小さく深呼吸した。

「あらためてちゃんとお礼を言うのって少し緊張するな・・・」

独り言が漏れる。深呼吸すると、ひんやりとした空気が肺に入ってくる。
早い鼓動が収まっていく。落ち着いたところで宿屋につく。
宿屋のドアを開けると、ドアについてた鈴がカランと乾いた音を鳴らした。
すると宿屋の奥から、足音が聞こえてくる。

「いらっしゃいませ! お泊り1名様ですか?」

カウンターに出てきて元気におもてなしをする、女性。
それに少し驚きながらも聖華は返事をする。

「はい、1人です」
「お食事もご用意できますがどういたしますか?」
「えっと、お願いします」
「じゃあ、こちらに名前のご記入とお会計の700ルリをお願いします」
(700ルリ?お金の単位かな?)

聖華はそんな事を考えながら、店員の女性が差し出した紙を見る。
紙には上から順番にカタカナで名前らしきものが書いてある。
聖華は、紙にカタカナで「セイカ」と書いた。
そしてライに渡してもらった1枚の銀貨を渡し言った。

「お金、これでいいですか?」
「はい、では300ルリのおつりです!」

聖華は銅貨を3枚渡された。
慣れないことに少ししどろもどろの聖華と反対に元気な店員。

「では2階にある3号室をお使いください。お食事は部屋にお持ちいたします。ですがまだ時間があるのでお部屋でお待ちください。宿屋から帰られる場合はまた言ってくださいね」
「はい、ありがとうございます」

聖華は渡された銅貨を握り締め、2階への階段を上る。
そして、ドアに3号室と書かれたプレートが掛かってる部屋を見つけたので入った。
広すぎない部屋にベッドと机と小さな本棚が置かれてる。
大きな窓から、オレンジ色に輝く夕日が見える。
聖華は電気をつけ、握っていた銅貨を机の上に置いた。
それから靴を脱いで、ベッドの中に潜り込む。疲れている体がベッドに沈んでいく。
大きな息を吐いて、目を閉じる。
もうなにもかもが面倒くさくて、疲れた体をベッドに預ける。
そのまま、聖華は眠りに落ちた。





 

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