オセロゲーム
□game-1
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どれくらい集中していただろうか。
ポンッ――――
誰かに肩を叩かれ、意識がパソコンから離れた。
振り返ると坂田先輩の姿があった。
「どうだ?どこまで進んだ?」
「あ、はい。えーっと・・・・7割がたは終わりました」
「・・・・・・そうか」
そう呟くとマウスに手を伸ばし今入力していた内容を簡単にチェックする。
パッ、パッと順に入力されたデータが表示され坂田は真剣にそれらを見つめる。
(・・・・・・・ち、近い・・・・)
見えやすいようにと軽く椅子を引いた方が良いのではと思ったが、先輩の手が椅子の背もたれに置かれているため、変に動いてはいけないような気がして変に身体をよじろうとした。
その時――――
「誤字がいくつかある。」
「え、えっ?」
意識が別にあった私は思わず間抜けな返答をしてしまった。
「え?じゃない。誤字脱字をしないのは基本中の基本だと習わなかったか。
確認作業を怠るからこんなことになるんだろう。
ただ早いだけならその辺にいるバイト学生でも雇って入力させるのと変わらん。新人で研修中とはいえ社員がバイトと同じレベルでは困る。」
冷たいほど冷静に、そして的確にミスを指摘され、血の気が引きそうになる。
「す、すみません・・・・」
「13時だ。1時間休憩の後、もう一度一から確認、続きの分も全て入力しておけ。」
「はい・・・・」
「ただし、残業はするな。研修中は基本的に残業をする場合は前日までに事前報告をする規定になっている。今日はその報告をしていない。」
「わ、わかりました。」
「では休憩にしろ。」
それだけ言って、坂田先輩は自分の席へと戻って行った。