オセロゲーム

□game-1
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「えー、今お配りしたのは明日から始まる研修の資料です。みなさんには各一人ずつ先輩がついて指導していきますので。各自目を通しておいてください。では、解散。」



バラバラと同期達が椅子から立ち上がり各々帰る準備をする。
私、坂本ゆうもそれにならう。


「ゆう、帰ろう」
声を掛けてきたのは同期であり寮の同室の小牧さくら。
彼女は人事部に配属予定である。


「明日からいよいよ研修かー。大丈夫かしらね」
「珍しいね。さくらがそんなこと言うなんて」


いつもなら何事に対しても自信満々で臨む彼女の言葉に私はからかい半分に返す。


「さすがに初めてのことに対しては私だって不安にもなるわよ」
「まぁ、確かにね…ヘマしないように気をつけないと」
「指導担当、誰になるのかしら」
「人事部はまだ誰がなっても心配いらなさそうじゃない?それに比べて…」


鞄に入れた研修資料を見るように、私はため息をこぼす。


「あんたのとこだって心配なさそうじゃない?」
「……噂では一人いるらしいのよ。鬼先輩が」
「え、そうなの?」
「うん…まぁ、当たらないとは思うんだけど…うちは配属人数もまだ多い方だし」
「厳しいってこと?その人」
「みたいね。あー、どうか当たりません様にっ!」

パンっ!と顔の前で手を合わせ拝む。
自分の力で何ともできない時にはとにかく神仏頼み。
こんなときばっかり頼って神様…怒らないでくださいね。


「で、その人何て言う人かわかるの?」
「うん。確か名前は…」
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