進撃の兵長

□乙女ゲー風進撃の巨人 基本編
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だんだん脚の感覚が麻痺してくる。
失血が多かったか…。
腕に抱く温もりを護りたい一心でなんとか自分を奮い立たせている。


私の背には沢山の人達の命がかかっている。
私を信じ、付いてきてくれた人たち…。
なんとか私がこの人たちを守らなければ…。



最悪な事態は突然訪れる。


5m級…。


普段の私であれば、余裕で戦えたかもしれない。
しかし………。


腕に抱いた子供をその子の母親に返す。

この体でどこまでいけるかはわからない…。
でも…この身が滅びようと、私はここを引くわけにはいかない。


それは…敬愛する団長のためだから…。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



私は入団からずっと、エルヴィン団長の元で働くことを夢見ていた。
人類の英知の結晶である、調査兵団において、エルヴィン団長の功績は計り知れない。
私は、団長の元で人類のためにこの身を尽くそうと決めていた。

兵団の中でも、ずば抜けた能力をもつ、団長の側近たち…。
今回、私はその中の団員に選ばれた。



そして、私が配置に着いた次の日…。
とある地区への巨人の侵入の報告があった。
既に街の中に巨人が入り込んでいる…。

団長の采配により、奇跡的に入口の封鎖に成功したが、侵入した巨人の多さと、残された市民の多さに、殲滅と救出は難航していた。

私は、周囲の状況報告を受け、団長へまとめて報告する。

そして…。
リヴァイ兵長が単独で巨人の殲滅をしているとの報告を受ける。

既に12体討伐…。
彼は本当に人間なのだろうか…。


そのことを団長に報告した時、子供の泣き声が聞こえた気がした。


瓦礫を避けると、数人の女性と子供達が…。

私が団長に指示を仰ぐが、団長は首を横に振る。
当然だ…。
団長には指揮に専念してもらわなくてはならない。

しかし…。
助けを求める彼女たちの表情に負け、私は団長に彼女たちの救出を申し出た。

暫く押し黙った団長は、ふと私に方を向き直ると、私の方に手を置き。

「ここはお前に任せる。」

と、言ってくれた。

私は、怪我をした母親の子供を預かると、彼女たちを先導して、安全な場所へと案内する。

途中、何度も巨人と遭遇し、私はなんとか討伐しながら進んできた。
ただ、私も無傷というわけにはいかなかった。

左腕が上がらない…。
目が霞む…。
肋骨も…何本がだめかも…。

それでも、気力だけで前に進む。
私を信じて託してくれた団長のためにも。


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しかし、状況は最悪。
既に、片腕が使えず、急所への攻撃も、できるかどうか…。
まずは、巨人の興味を私に引くことには成功したが…。

しかし、考えている余裕などどこにもない。

来るっ!!

と思った、次の瞬間……………目の前が霞む。

っ!!

こんな時に体は言うことを聞かない。

もう…だめ………。

そう思った途端………。
巨人が目の前に倒れる。


そして、空から………。
人が舞い降りてくる……。

「兵長!!」

「お前には言いたいことが山ほどある。」
「とりあえずここはいい。さっさと避難するぞ。」

そう言って兵長は先に進んで行ったが…。
その背中を追う前に……私の意識はぷつりと途切れた。
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